★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [2]【コラム】流れ星 ~太陽系を旅する星のカケラ~   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 『流れ星に願い事を3回唱えると、願いが叶う』  この心ときめく言い伝えに魅せられて、流れ星の観測にチャレンジした方も 多いのではないでしょうか。今回はこの『流れ星』がどこからやってくるのかを 考えながら、宇宙の神秘に迫ってみましょう。  早速ですが、ここで問題です。どちらも長い尾を引いて流れる『流れ星』と 『彗星/ほうき星』ですが、その違いはなんでしょう。似ているようにも感じ られる二つの天体ですが、実は全くの別物です。  流れ星の正体は、宇宙に漂う大きさが0.1mmから数cmの塵(ちり)です。 この塵が地球の大気に飛び込んでくる時に、摩擦によって大気が熱せられて光を 一瞬だけ放つのです。一方、この塵のもととなるのが、彗星です。彗星は、地球 のような惑星と同じく、太陽の周りをまわる太陽系の天体です。塵や氷が集まっ てできている直径1~10kmの本体(核)は、その成分から『よごれた雪だるま』と も呼ばれます。細長い楕円軌道を描きながら果てしなく続く太陽系の旅の途中で ちょうど太陽に近付いたとき、氷が溶けて塵とともに放出され、それが太陽光を 反射して尾のように見えるのです。地上からは、雄大な尾を携えた彗星が何日も かけて星座の間を移動していくように見えます。こうして放出された塵が彗星の 軌道上にたくさん残っており、この塵の集まりに地球が突入すると、流星群とし てたくさんの流れ星が見えると考えられています。  来月の8月12日深夜~13日明け方にかけて、ペルセウス座流星群が出現のピー クを迎えます。その母天体であるスイフト・タットル彗星は、およそ130年かけて 太陽の周りを回っており、なんと海王星の軌道のずっと外側まで旅しています。 ピークの前後数日は流れ星を見られる絶好のチャンスになります。この機会に空を 見上げてみませんか。流星群を観測するコツは、できるだけ街灯の少ない暗い場 所で、なおかつ周りに高い建物のない場所に行くことです。流星群はペルセウス 座が見える北東の空を中心に全天に流れますので、できれば仰向けに寝転がって 観測すると良いでしょう。 六本木天文クラブでは、8月13日と15日にスカイデッキ観望会を行ないます。街 明かりで明るい六本木の夜空ですが、地上238mのスカイデッキから見上げる広い 空には遮るものもなく案外多くの星が見られます。もしかしたら、夏の星座を横 切る明るい流れ星も見られるかもしれません。 太陽系を旅する彗星のカケラ『流れ星』。宇宙の広大さに想いを馳せながら、今 一度、流れ星に願いを唱えてみてはいかがでしょうか。 野沢 由依 日本女子大学大学院 大学院生