★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [3]【コラム】よりリアルな星空を再現したい ~プラネタリウムの進化史 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 私たちの住む宇宙の姿を再現したい――古代から人々はそのような思いを 持ち続けてきました。紀元前にはすでに、地球儀のような球体に星空を再現 した天球儀が作られています。しかし、天球儀は球体を外から眺めるため、地上 から見た星空の様子を表現するには向いていません。そこで最初の天球儀が作ら れてから2千年近くたった1654年、直径3.1mという巨大な天球儀が作られまし た。この天球儀は中に入ることができ、ちょうど地上から天球を見上げるよう に、内側に描かれた星々を中で座って見ることができましたしかも天球儀全体が 回転し、星々の動きを再現することまでできたのです。まさにプラネタリウムの元祖 と言えるでしょう。 現在のプラネタリウムのように、丸い天井(ドーム)に星空を映すタイプが誕生 したのは1923年のドイツでのことです。4500個の恒星はもちろん、惑星や天の川 なども投影することができ、現在のプラネタリウムの基本はすべて詰めこまれて います。  日本にプラネタリウムが登場したのは1933年、大阪でのこと。1959年にはプラ ネタリウムの国産に成功し、ここから一気に日本国中にプラネタリウムが広がっ ていきました。プラネタリウムの投影機も日々進化を続け、コンピュータによる 制御、投影機の小型化、投影できる星数の増加などが進んでいきました。現在で は全天にデジタル映像で星空を再現する「デジタルプラネタリウム」も登場して います。1998年には大平貴之氏による「メガスター」が登場。肉眼で見ることが できない恒星をも投影し、天の川さえ恒星の集まりとして精細に表現したので す。現在、最も多くの星を映せるプラネタリウムは、なんと1億個以上の星を投 影することができ、よりリアルな星空を再現できるようになりました。  しかし、ドームに星を映し、座って見るプラネタリウムでは、星空の「奥行 き」を再現することは困難です。「スカイプラネタリウム」は世界初、リアル3D で星空を再現し、その中を歩くことができる画期的なプラネタリウムです。立体 的に見せる、ではなく実際にギャラリーに「星」を置き、宇宙空間を忠実に再現 しています。そしてその中を自由に移動してあらゆる視点から星空を楽しめるの です。  私たちの住む宇宙をよりリアルに再現したい、という思いで進化してきた プラネタリウム。「スカイプラネタリウム」では、そんなプラネタリウムの 全く新しい姿に触れることができるのではないでしょうか。 塚田健 姫路市宿泊型児童館「星の子館」職員