★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [2]【コラム】薄明の空に人間の営みを見る ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 人工衛星――それなくしては、私たちの日々の生活は成り立たないと言っても過言 ではありません。衛星放送や天気予報、カーナビのような身近なものから、地図 作成や災害時の状況確認などにも、人工衛星は活躍しています。あの野口聡一宇 宙飛行士や山崎直子宇宙飛行士が滞在した国際宇宙ステーションも人工衛星の一 種ですが、そこではさまざまな科学的・医学的実験が行われ、その成果は多くの 分野で活かされています。 そんな人工衛星を、地上から特別な道具なしで見ることができることを、皆さん は知っていましたか?夜空をよーく注意して見ていると、時折、スーッと動いて いく光の点が見られることがあります。それが人工衛星なのです。 でも、人工衛星は夜ならいつでも見られるかというと、そういうわけではありま せん。多くの場合、人工衛星が見られるのは日没後、あるいは日没前の数時間で す。これらの時間帯は、地上は暗くとも、人工衛星が飛行する数百km上空では、 太陽の光が射しています。その光の中を人工衛星が通過するため、太陽の光を反 射しキラッと輝いて見えるのです。 夜空を眺めていると、高い高い空を飛ぶ飛行機を見つけることもありますが、人 工衛星と見分けるのは簡単です。飛行機の場合、飛行機自身についている航空灯 が光って見えているため、よく見ると点滅しています。人工衛星は、一瞬明るく 輝くこともありますが、基本的には点滅することはなく、スーッと動いていくの です。 ほとんどの人工衛星は3~4等級とあまり明るくはなりませんが、中にはマイナス 等級にまでなるものもあります。そのひとつが、国際宇宙ステーションです(等 級は数字が小さいほど明るいことを意味し、マイナス等級は1等星よりもさらに 明るいということになります)。条件にもよりますが、国際宇宙ステーションは 金星ほどの明るさ(マイナス4等級程度)にまでなることもあり、もっとも見つけ やすい人工衛星と言えます。宇宙航空開発研究機構(JAXA)のwebページでは、 いつ、どちらの方角に国際宇宙ステーションが通過するのかという予報が載って いますので、ぜひチェックしてみて下さい。非常に明るい光の点がゆっくりと動 いていく様子は不思議さと美しさがあり、そこに宇宙飛行士が乗っていることを 考えると、より感慨深いものがあると思います。 2011年5月からは、古川聡宇宙飛行士が6ヶ月間、国際宇宙ステーションに滞在す る予定です。日本人も搭乗している国際宇宙ステーション、ぜひみんなで見上げ て応援しましょう。その予習に、六本木天文クラブで人工衛星の眺め方、練習し ませんか? 国際宇宙ステーションの目視情報はこちら → http://kibo.tksc.jaxa.jp/(携帯版もあります) 塚田健 姫路市宿泊型児童館「星の子館」職員