★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [3]【コラム】太陽系の果てに思いを馳せて・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 今宵は満月。月の右上、南の空には土星が見えます。明け方には木星や金星もの ぼってきます。一晩も夜空を眺めていれば、流れ星もいくつか流れるかもしれま せん。実は、これらはみんな太陽系の一員です。太陽系とは、太陽の巨大な重力 に引かれて、太陽の周りを回る天体などすべてを含めたものです。地球のような 惑星をはじめ、火星と木星の間にたくさんある小惑星や、ときおり尾をなびかせ ながらやってくる彗星(ハレー彗星など)も太陽系の仲間です。 ところで、惑星といえば「すいきんちかもくどってんかいめい」といった文句で 惑星名を覚えたりはしませんでしたか?以前、惑星は冥王星まで含めて9つあっ たんです。しかし、2006年に惑星の定義が初めて作られ、冥王星が準惑星という 新しい分類になり、惑星は8つに決められました。太陽系が小さくなったのでし ょうか?!そうではありません。むしろ、太陽系は科学の進歩と共に広がってい ます。人類が太陽系をより遠くまで見渡せるようになってきたのです。冥王星よ りも遠くに初めて天体が発見されたのは1992年。今では準惑星に分類されそうな ものが100個以上見つかっています。 では、太陽系はどこまで広がっているのでしょうか?その鍵を握っているのが彗 星です。彗星は太陽から約1光年(約9兆km)も離れたところからやってくるもの がたくさんあります。そこはオールトの雲と呼ばれ、太陽を中心に球状に分布し ていると考えられています。つまり太陽の重力に支配されている最も遠い領域、 すなわちオールトの雲が太陽系の果てのあたりになるわけです。あまりにも遠す ぎて残念ながら大きな望遠鏡を使ってもそこにある彗星を見ることはできません が、遠く広がる太陽系の果てに思いを馳せて夜空を眺めてみてはいかがでしょうか。 元 国立天文台 室井 恭子