★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [3]【コラム】世紀の金環日食を楽しもう ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 光が当たって影ができる。 そんな当たり前で普段は殆ど気にしないような事でも地球規模になってくると ちょっと話が変わってきます。2012年は多くの珍しい天文現象を見ることができ ますがその中でも大本命と言えるのが5月21日の朝に見ることができる「日食」 です。日食には、太陽と月が重なった時の状況によって太陽が部分的に欠ける 「部分日食」月の周りに太陽の縁が金の輪のように見える「金環日食」。2009年 に大きな話題になった、太陽が完全に月に隠される「皆既日食」。日食が起きる 時間帯によって皆既になるか、金環になるかが変わる「金環・皆既日食」など色 々あります。 5月21日に日本で見ることができるのは部分日食と金環日食ですが、やはり注目 したいのは金環日食です。では、日本のどこで金環日食を見ることができるので しょうか?日食は地球側から太陽を見ると太陽が徐々に欠けていく様に見える現 象ですが反対に、太陽側から地球を見ると地球の表面に月の影が落ちているとい う状況になっています。ここで、自分の影を見てみてください。中央の濃い影と その外側に薄い影があるのがわかるでしょうか?濃い影を「本影」、薄い影を 「半影」といいます。本影は光が完全に遮られ、反影は一部だけ光が当たってい る部分です。月の影ともなると、冒頭に書いたようにまさに地球規模。月の「半 影」の範囲は日本列島が余裕で収まってしまうほどの広さなのです。そして、こ の半影内では部分日食を見ることができるのです。つまり、当日は太陽の欠け具 合は違えども、日本全国で部分日食を見ることができるということです。 では、肝心の金環日食はというと・・・ 半影の中心部分の本影内でのみ見ることができます。この範囲を「金環帯」と呼 びます。半影の広さと比べるとずっと狭い範囲なのですが、今回の金環日食では その金環帯が東京、名古屋、大阪などの都市部から四国の大部分、南九州など ちょうど日本と重なっているのです。主要な都市部が金環帯に入っているので、 日本の人口の約三分の二がその場に居ながらこの現象を見ることができるので す。次に、金環日食が見られる時間帯ですが東京では太陽が欠け始めるのが朝の 6時19分からで、そこから徐々に欠けていきます。月が太陽の中に収まるのは、 欠け始めてから1時間以上あとの7時32分。ここからが、いよいよ金環日食です。 7時34分に最大食となり、3分後の7時37分まで金環日食が続きます。ここから先 は、また部分日食に戻り、9時2分にもとの太陽の姿に戻ります。部分日食の見ら れる時間に比べて、金環日食が見られる時間はわずか5分程度。非常に貴重な5分 間です。さらに、東京で金環日食が見られるのは173年ぶりで、次に日本で金環 日食が見られるのは18年後の2030年。しかも北海道でのみです。 皆さんはどこでこの金環日食をご覧になりますか? 金環帯で見る事が出来る人、金環帯に来て見る人、金環帯には行かずに部分日食 を楽しむ人。人それぞれ楽しみ方は違いますが、みんなの願いはただ一つ。 どうか当日、晴れますように。 ※次号のコラムでは、安全な観察方法について紹介します。 一星 昌利 天文学普及プロジェクト「天プラ」