★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [5]【コラム】「冬の王者オリオンの愛の物語」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 昨日、2月14日はバレンタインデー。 その起源は諸説ありますが、世界各地で愛の誓いの日とされている日ですね。星 座にまつわる神話には、愛をテーマとしたものもたくさんありますが、今の時期 に見える星座、冬の王者「オリオン」座の愛のお話はご存知でしょうか? オリオンは強靭な肉体を持ちながら類い稀な美青年でもあり、優れた狩人として 名を馳せていました。ある時、オリオンは月の女神アルテミスと出逢います。ギ リシア一の狩人であるオリオンと、狩猟の神でもあるアルテミスが恋に落ちるの に時間は掛かりませんでした。 恋仲となったオリオンとアルテミスは、ともに狩りなどをして楽しく暮らしてい ました。ところが、自分の狩りの腕前に自惚れたオリオンは、「俺はこの地上の ありとあらゆる獣をすべて射とめてみせる」と口走ってしまったのです。 このオリオンの言葉を聞いた神々は、オリオンの自惚れをこらしめるため、1匹 の大サソリをオリオンに仕向けます。無敵のオリオンでしたが、足元のサソリに 気づかず、毒の尻尾に刺されて死んでしまいました。彼の死を悲しんだアルテミ スは大神ゼウスに頼み、オリオンを天に上げて星座としてもらいました。 そして、月の女神であるアルテミスは夜空を巡り、月に一度、愛するオリオンに 逢いに行くのです。ただ、星座になったオリオンは今でもサソリを恐れ、さそり 座が空に昇る頃になると慌てて西の空へ沈んでしまうようになりました。 これは数ある神話のうちのひとつ。オリオンの愛の物語はこのほかにもいろいろ ありますので、気になる方はギリシア神話をひも解いてみると面白いかもしれま せん。 今の時期は、太陽が沈んだ後の南の空にオリオン座を見つけることができます。 そして、月に一度、このオリオン座にアルテミス、つまり月が近づきます。次に 二人が近づくのは、3月8日~9日頃。まだまだ寒い季節ですが、オリオンとアル テミスのお話に思いを馳せながら星空を眺めてみてはいかがでしょうか。 川越 至桜 東京大学 / 天文学普及プロジェクト「天プラ」