★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [5]【コラム】「惑星たちの競演」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 今年の3月頃から、夕空に2つの明るい惑星が輝いているのにお気づきですか?3 月頃には西の空低くに見えていたのが宵の明星・金星、東の空に見えていたのが 木星です。その後、2惑星は見かけ上どんどん近づき、6月1日現在で握りこぶし2 つ分ほどの距離にまで接近しました。1番星、2番星として夕方の西の空に明るく 目立っているので、何気なく目にしている方も多いと思います。そして7月1日、 その2惑星は角度にして0.3度(20分角)の距離にまで大接近します。 空での見かけ上の距離や大きさは、角度を使って表します。例えば、金星-あな た-木星のなす角度で、金星と木星の見かけ上の距離を表します。1度よりも小 さな角度は、「分(分角)」という単位を使います。1度は60分角に相当しま す。満月の直径は約30分角(0.5度)なのですが、金星と木星の見かけ上の距離 が20分角ということは、ふたつの惑星が満月の内側にすっぽり入ってしまうほど 近づくということです。もうすこし分かりやすくするために、皆さん、五円玉を 用意してください。用意できたら続きを読んで下さいね♪ さぁ、五円玉は用意できましたか?そうしたら、五円玉を手に持って、その腕を いっぱいに伸ばしてください。腕を伸ばしたまま、五円玉の穴を覗きます。その 穴の直径が30分、つまり満月の直径とほぼ同じなのです。つまり、いっぱいに伸 ばした腕の先の五円玉の穴の中に、金星と木星が入ってしまう…それほどまでに ふたつの惑星は近づくのです。 このように惑星同士が見かけ上、近づいて見える現象を「会合」と言います。惑 星の会合は、そのときどきで近づくシチュエーションが変わります。例えば、ど の惑星がペアで見えるのかによって、色の組み合わせの楽しみがあります。月が 加われば、いっそう華やかになります。夕方や明け方であれば、夕焼けや朝焼け の空の色の変化や、周囲の風景と合わせて楽しむこともできるのです。 今回の金星と木星の会合は夕方の西の空ですから、晴れれば夕焼けに染まる空 に、ひときわ明るく輝くふたつの惑星がくっつかんばかりに近づいている…そん な風景が見られるはずです。 このような惑星同士の会合は、一年に何回か見られます。7月1日の金星・木星の 接近に次いで見ごたえがあるのは、今年の11月7日の月と3惑星の会合です。今回 の2惑星ほど接近はしませんが、明け方の東の空に木星、月、火星、金星が一直 線に並んで見えるのです。明け方の冷え込みが厳しくなり始めるころですが、冬 は日の出も遅く、朝の5時頃でも見られます。 惑星の会合はコンパクトデジタルカメラやスマートフォンでも撮影できます。た だ眺めるもよし、写真を撮ってみるのもよし、夕方や明け方のひと時、思い思い に惑星たちの競演を楽しんでみてはいかがでしょうか? 塚田健 平塚市博物館/天文学普及プロジェクト「天プラ」