★☆★☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆★☆ [6]【コラム】「夜空の散歩は星図を片手に」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 7月。夏休みに旅行をされる方も多いと思います。知らない土地を旅していて欠 かせないものは、地図ですよね。ランドマークになる名所をたどって街をめぐる のは楽しいものです。 そのような地図の仲間は、夜空にもあります。それは “星図” です。 皆さんも、夜空を眺めるときに使う「星座早見盤」として、あるいは講演会の資 料などで「今夜の星空」として星座や天体が描かれた星図を目にしたことがある のではないでしょうか。博物館や美術館に行けば、クラシカルな雰囲気の古星図 を見かけることもあるでしょう。さまざまな星図がありますが、どんな星図でも 見方はシンプル。地図と同じように、わかりやすいものからたどっていけばいい のです。 まずは明るく目立つものを探しましょう。それは、1等星たちです。夜空のラン ドマークとも言えるでしょう。星図でも大きく目立つように描かれているのが普 通です。また、夏の大三角や北斗七星といったわかりやすい星の並びもまた、 星空を散歩する時の目印となります。 星図は円形の図で表されていることが多く、ちゃんと東西南北も書いてありま す。この円の中央が見ている人の頭の真上(天頂と呼びます)、円の縁が地平線 を表しています。 例えば、国立天文台が公開している今月の星図を見てみましょう(7月中旬21時 頃、東京の星空→https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2017/07.html)。もう夏本 番も間近ですが、西の空にはまだおとめ座やうしかい座など春の星座たちがいる ことが分かります。 もっとよく眺めてみて下さい。南西の地平線寄りにある明るい星は、おとめ座の スピカです。それよりもう天頂よりにあるのが、うしかい座のアークトゥルス。 そのふたつの星をつないで北の方へたどっていくと、北斗七星の柄の部分が 見つかります。 ただ、このように特定の季節、時間、場所の星空を切り取った星図は、季節、時 間、場所が変わればその内容も変わってしまうことに注意が必要です。各季節に 合わせた星図は国立天文台のウェブサイトで公開されていますので、それをご利 用下さい。特定の季節、時期の星や天体の配置を知りたければ、星座早見盤を 使うと良いでしょう。 また、惑星にも要注意です。先ほどの国立天文台で公開している星図には、土星 や木星が描き込んでありましたが、一般的な星図には惑星が描き込まれていない ことがふつうです。なぜなら、惑星は星座の星々の間を惑(まど)っているため、 星座の星々に対して固定して描けないのです。 夜空に輝く星々をただぼぉ~っと眺めるのもとても癒やされますが、星図を使っ てみると、星空の世界にもっと親しむことができるはず。今年の夏は星図を片手 に、もっと夏の星空を楽しんでみませんか? 大重 維貴乃 天文学普及プロジェクト「天プラ」