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2011年6月5日

六本木ヒルズで講演会

天プラでは六本木ヒルズに協力する形で、2009年6月から『六本木天文クラブ』の運営を手伝ってきました。講演会や森タワー屋上で手の天体観望会など、オリジナリティのある活動をやってきました。立ち上げ時には僕は台湾にいてブログで宣伝するくらいしかお手伝いすることができなかったのですが、帰国もしたことですしこれからはどんどん協力していきます。

というわけで、下記の通り、六本木ヒルズ内のアカデミーヒルズで天文講演会をやります。まだ参加枠には余裕があるようなので、皆様お誘いあわせの上ご参加くださいませ。

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六本木天文クラブ セミナー
太陽系のルーツを求めて 〜暗黒星雲の先にある未知の宇宙〜

2011年06月09日 (木) 19:00〜20:30
申込は上記リンクから。

夜空に輝く星々の中に、地球のような惑星を宿す星はあるのでしょうか?

近年、太陽のような星のまわりを回る惑星(太陽系外惑星)の探査や、今まさに生まれつつある星や惑星系の研究が活発に行われています。その結果、太陽系とは似ても似つかない惑星系が多く見つかってきました。私たちの太陽系は、どうして今のような姿をしているのでしょう?
いろいろな星や惑星系の産み分けはどのように行われているのでしょう?今、星たちの生まれる場所、暗黒星雲を詳しく観測してその謎に迫ろうとする試みが進められています。

暗黒星雲とは、宇宙に漂うガスと塵が集まっているところ。およそ-260℃という極低温の宇宙の雲の中で星や惑星が作られていくのですが、その低温のために暗黒星雲は光を出すことができず、宇宙にぽっかり空いた穴のように見えることもあります。その中を見通すことができるのが、電波望遠鏡。
暗黒星雲からやってくる電波をとらえ、詳しく調べることで星や惑星の誕生の様子がわかります。

そしてその歩みを大きく前進させるのが、現在チリに建設中のALMA(アルマ)望遠鏡。国際協力で進むこのALMAプロジェクトによって、「私たちはどこから来たのか」という永年の謎に解決の糸口が見つかるかもしれません。

今回の六本木天文クラブセミナーでは、電波天文学という切り口から、星たちの間に広がる暗黒の夜空に、私たちのルーツを探ります。

スピーカー
平松正顕 (ひらまつ・まさあき)
自然科学研究機構 国立天文台ALMA推進室 助教
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投稿者 平松正顕 : 22:19 | hiramatsu log | コメント (3) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2011_6_5_320.html

2011年5月29日

ご挨拶:帰国してます。

気付けば今年はまだブログを書いていないという大変なご無沙汰になってしまいました。

2008年4月より台湾・中央研究院天文及天文物理研究所でポスドク研究員として働いていましたが、この度帰国しまして、2011年3月1日より、国立天文台ALMA推進室助教(電波広報担当)として仕事をしています。大学院時代5年間お世話になったALMA推進室に戻ってくることができました。

台湾での3年間はとても良い経験ができたと思います。海外の研究機関・研究者の仕事の進め方に触れることができ、また友人もたくさんできたことは今後いろんなところで活きてくると思います。特に僕が勤めていた中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)は国際色豊かな研究所で、台湾人研究者の大半は海外の大学院で学位を取った人たちだし、海外出身の研究者もたくさんいます。前者については、天文で学位(博士号)を取れるところが台湾内にあまりなかったということの裏返しではあるのですが、そういう方たちがいるおかげで欧米の研究機関・研究者との活発な交流が実現していたわけです。日本でも海外の研究者にとって魅力的な研究所づくりを、ということがよく言われていますが、working languageが英語であるASIAAは事務の方々もみんな英語できますし、研究連絡も事務連絡も全て英語。家探しや諸々の手続きについてもかなり手厚いサポートが得られるので、とても助かりました。非アルファベット文化圏は特に欧米の方たちにとって言語の障壁が大きいので、このサポートはとても重要だなと感じます。

さて日本に帰ってからの仕事ですが、間もなく科学観測が始まるALMA望遠鏡、および電波天文学の広報が主な任務です。ウェブページの更新、講演会などの企画の実施、取材対応、その他もろもろやってます。これまでtenpla、国立天文台三鷹の天体観望会、科学技術館科学ライブショーユニバースなどで「天文学をたくさんの方と楽しむ」活動を学生時代からいろいろとやってきましたが、それらの経験や人脈を活かしつつ新しいステージでの活動の幅を広げていきたいと思っています。講演会やサイエンスカフェのご依頼、イベントのご相談などありましたら hiramatsu.masaaki あっとまーく nao.ac.jp までお気軽にお寄せください。

これからも面白い話題、面白い企画をどんどんやっていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

投稿者 平松正顕 : 16:23 | hiramatsu log | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2011_5_29_319.html

2010年12月23日

ALMAを超えるALMA

宇宙をテーマにした音楽というのはそんなに珍しくないですが、望遠鏡そのものずばりの名前を冠した曲はそんなになかったのではないでしょうか。そんなところに、今年9月に『ALMA』という曲をリリースしたACIDMANはすごい。

もう何度もこのブログで紹介していますが、ALMAというのは日本と台湾、北米・欧州の国際協力でチリに建設中の電波望遠鏡です。僕もこの8月から10月まで2ヶ月間望遠鏡の調整のために出張してきました。

で、その出張中、ALMAのコントロールルームにいるときに、現地に赴任されている日本人研究者の方と話をしていていびっくり。「ALMAというタイトルのCDを出すアーティストがいる」と。公開されたCDジャケットには確かにALMAの日本製造担当分のパラボラアンテナがしっかりと写っています。何でも実際ALMAサイトまでやってきてプロモーションビデオを撮っていったとか。発売は9月で、その前後にはテレビにもたくさん出て、番組によってはそのPVのロケ風景なんかも紹介されていたようです。僕も台湾に戻って来てから、NHKワールドプレミアムで一度その放送を見ました。ずらりと並んだALMAのパラボラアンテナの写真が音楽番組に出てるのはとても不思議な感じ。

プロモーションビデオは、EMIのページで見ることができます。冒頭からALMAのアンテナ(三菱電機製)が登場。白い平原はボリビアのウユニ塩湖だそうでこれはALMAの建設エリアとは別の場所ですが、それ以外の部分ではALMAのアンテナが随所に出てきます。パラボラが1台だけ動いているシーンは、標高3000mのOperation Support Facilityと呼ばれるALMAの施設の中の日本のアンテナ組み立てエリアでの撮影のようです。ヨーロッパアンテナ組み立てエリアの写真は9月23日の記事に載せてありますが、日本のエリアはこの写真のすぐ右側です。さらにPVの2分43秒以降には、標高5000mに設置された7台のパラボラアンテナも出てきます。砂埃が待っているのでわかるとおり、このサイトでは強風が吹くことが時々あります。アンテナを倒して低い姿勢にしてるのは、たぶん強風からアンテナを守るためのサバイバルモード。撮影もきっと大変だったことでしょうね。

この曲のタイトルは、EMIのウェブサイトでは次のように紹介されています。

楽曲タイトルの「ALMA」(アルマ)とは、東アジア(日本が主導)・北米・ヨーロッパ・チリの諸国が協力して、チリ北部のアンデス山中標高約5000メートルにあるアタカマ高地に建設中のパラボラアンテナ66台からなる電波望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計:Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)の略称で、チリの公用語であるスペイン語で「こころ」「たましい」を意味します (国立天文台 ALMA望遠鏡 ホームページ参照 http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/)。

「ALMA」のミュージック・クリップは、Vo.&G.オオキノブオが、実際にチリ・アタカマ高地に行き、国立天文台の全面協力を受け、ALMA望遠鏡のもとで撮影を敢行しました。また、ボリビアにある塩の湖・ウユニ塩湖でもロケを行い、楽曲の世界観を見事に表現した壮大で美しい作品が完成しました!!

音楽系のウェブニュースサイトの記事もこの文章をもとにして書かれているようで(例えば、CDJournalの記事)、『ALMA電波望遠鏡』という文字列が相当多くの方の目に触れたんではないかと思います。さらに、シングルCDのみならずアルバムのタイトルも"ALMA"、ツアータイトルも"ALMA"、さらにPVの撮影風景を収めたDVDのタイトルも『scene of “ALMA”〜オオキノブオ チリ&ボリビア紀行〜』。もうALMAだらけ。

僕の友人からは「国立天文台からプロモーションかけたのか?」という質問のメールが来たりしましたが、話によれば(僕は国立天文台の人間ではないので・・・)、むしろACIDMANの側から興味を持ってアプローチしてきたとか。きれいな写真が撮れる光学望遠鏡ではなく電波望遠鏡、しかもまだ建設中のALMAに興味を持ってもらえたのはとてもラッキーで嬉しいことです。

不況や財政難もあって科学の意義や役割が問われることの多い昨今、直接明日の生活を物質的に豊かにするような科学や技術はもちろん大事なんですが、インスパイアされて曲が作られてそれが多くの人に聞かれるとか、そういう方向での科学の果実の還元ももっとあっていいよなと思う、今回のACIDMANの新曲でした。

投稿者 平松正顕 : 22:37 | hiramatsu log | コメント (1) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2010_12_23_318.html

2010年11月27日

プラネタリウム×プラネタリウム

研究会「星形成ワークショップ」のために3泊4日で日本に帰国し、きのう台湾に戻ってきました。当然ながら東京は台北より寒かったですが、あのくらいの寒さならむしろ心地よいくらいで、天気が悪くてぬるい台北の冬よりは好きですね。

研究会の前日に東京着、終わった翌日に東京発というあまり余裕のない日程でしたが、表題のとおりプラネタリウムを2件ハシゴしてきました。

ひとつめは、駒場祭に出展された東大地文研天文部のプラネタリウム。僕もこの天文部のOBで、10年前(!!)にプラネタリウムを作ったものです。それまでピンホール式だった恒星投影機からレンズを使った方式に変えるという大きなジャンプに挑んだわけですが、さすがに壁は高く、初年度は満足に投影できないまま(辛うじて1度だけ投影したような記憶)駒場祭が終わってしまいました。その翌年、後輩たちが頑張ってくれて完成し、今年はレンズ式になって(僕らの年を0年目とするならば)10年目。駒場祭3日目は13時半ごろ整理券配布が終了したそうで、僕が羽田から駆け付けた15時ごろには最終上映が始まるころでした。その後、部内向け投影で星空を見せてもらいましたが、安定した星空で円熟の域といってもいいかもしれません。いいものを見せてくれた後輩の皆さん、ありがとう、そしてお疲れさまでした。駒祭後のいわゆる「社会復帰」もしっかりね。

その後研究会に参加し、50分の発表もこなし、有益なコメントと今後の協力の糸口も作れたあと、帰国前に六本木へ。

六本木ヒルズでは、天プラとして以前から「六本木天文クラブ」の運営をお手伝いしていましたが、今回は森アーツセンターで開催されるイベント「スカイプラネタリウム」に協力しています(僕は少しだけの協力ですが、天プラの他のメンバーはかなりガッチリ協力してます。右上のポスターにも「天文学普及プロジェクト 天プラ」の文字がしっかり)。メガスター製作で有名な大平貴之氏が総合プロデュースをされているこの企画。恒星投影機メガスターとデジタル宇宙描画エンジンUNIVIEW、そしてasahi.com読売オンラインでも記事になっている「立体プラネタリウム」から、私たちの宇宙の中での立ち位置を感じ取ることのできる企画です。24日は初日でしたが、平日ということであまり人出はないものかと思ってました。ところがあとからあとから人が流れてきて、思ったより盛況。大平さんによると初日の観覧者は2500人を超えたとか。初日とはいえ平日でこれで、「星」のイメージが街にあふれる冬はこれからで、開催は2月までの長丁場となると総観覧者数も結構大きな数字になりそうです。多くの方に楽しんでいただけるといいなぁと思います。

ネタばれになるとちょっとよくないかもしれないのであまり詳しくレポートは書きませんが(というか、ぜひご自分の目で見ていただきたい)、僕はメガスター部屋が気に入りました。人の流れは途切れないもののそんなに混雑もしてない空間で、メガスターの映し出す素晴らしい星空をゆっくりと存分に堪能できました。「マゼラン雲の隣にあるのは球状星団47 Tuc!」とか「銀河中心方向の黒い筋はパイプ星雲!」とかマニアックな感動をするもよし、びっしりと光の点で埋め尽くされる壁面に思わず近寄って手を伸ばしてしまうもよし、ひととおり星座を探した後でゆっくり動いていく星空をぼーっと眺めるもよし、いろんな楽しみ方で時間を過ごせる空間でした。これまでメガスターは一般向け初公開だった青山、旧五島プラネタリウム、日本科学未来館などで何度か見てきましたが、これほどじっくり堪能できたのは今回が初めてでした。とてもよかった。

思えば10年前、まだメガスターが一般公開されていなかった頃、無謀にもレンズ式恒星投影機の開発に挑んだ僕は、おそれおおくも直接大平さんにメールでいくつか質問を送ったのでした。もう何を聞いたか忘れてしまいましたが、それから時は流れて大平さんプロデュースのスカイプラネタリウムにわずかながら協力でき、それと並行して天文部の後輩たちが頑張って完成させてくれた駒場祭プラネタリウムを見ることもできたのは、巡り巡る縁を感じる日本滞在でした。

最後にもう一度、スカイプラネタリウム、本当におススメです。ぜひ。

投稿者 平松正顕 : 23:19 | 海外出張日記 | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2010_11_27_317.html

2010年10月2日

ALMAの現状を垣間見る

10月になってしまいました。8月21日に台湾を発ってこちらに来てからもう1カ月。早い早い。今はサンチアゴにいますが、来週の金曜日にまた標高3000mのOSFに行って試験観測当番を8日間、それで今回のチリ出張は終わりです。これまでの最長は5週間のチリ出張だったので、2ヶ月の出張なんてどうなるんだろうかと思ってましたが、あっという間です。

日本の国立天文台のALMAウェブサイトには、標高5000mサイトでアンテナが8台になったというニュースが出ています。(山頂のアンテナが8台体制に)。これらは口径12mのパラボラアンテナを持つ電波望遠鏡ですが、このうち1台(右から2番目)が日本が製造を担当したアンテナ、残りはアメリカ製です。日本はこのあともう3台の12mアンテナと12台の7mアンテナを担当していて、12m3台と7m1台は既に3台標高3000m地点で組み上がって性能評価中です。残りの7mアンテナのうち4台は、先日チリに到着したようです。今は山頂には日本のアンテナが少ないですが、まあ早く持って上がればいいってもんでもなくて、組み立て後にきちんと性能を出して問題点をつぶしてから運ぶべきなので、そんなに気にしなくても大丈夫。

こうして次第にモノがそろってきたので、いろいろなところで素晴らしい動画や写真が公開されています。建設前の何もない砂漠もそれはそれで絵になるのですが、現在進行形でデカくて動くモノができてくる様子はまた違った意味でおもしろい。というわけでここでは2つご紹介。

ひとつめは、アメリカ国立電波天文台のALMA Explorer(音が出ます)。ALMAの山麓施設Operation Support Facility、山頂施設 Array Operation Site、それから近くのオアシスの村サンペドロ・デ・アタカマなどが動画にインタビューを交えて紹介されています。英語ですが、映像を見ているだけでも楽しめると思います。数分の動画がたくさんあるのですが、おススメは
・OSFテクニカルビルディング内のコントロールルーム
アンテナを運ぶ巨大なトランスポーター
アンテナ組み立てエリア
ALMAキャンプ(宿舎)
山頂のアンテナ
あたりでしょうか。僕も今はサンチアゴにいますが、山に行くときはこういうところでお仕事をしています。

もうひとつは、チリの新聞社 El Mercurio のサイトにある写真集"El gigantesco observatorio en el norte de Chile"。高解像度のきれいな写真をスライドショー形式で見ることができます。極限環境に立つアンテナ群は壮観です。

12mアンテナが16台そろってその他受信機やデータ処理装置等も準備ができたら初期科学運用が始まります。最初のアンテナが山頂に運ばれたのが2009年12月25日(動画はこちら)。9カ月でアンテナが7台増え、特にここ1カ月ではアンテナ2台が5000mに運ばれるというハイペースになっています。来年中の初期科学運用開始という目標がいよいよ近づいてきています。

投稿者 平松正顕 : 23:10 | 海外出張日記 | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2010_10_2_316.html

2010年9月23日

アンテナとマゼラン雲

先日の天の川に続いて、アタカマで撮影した天体写真をもう一枚ご紹介。前回と同じくALMAのコントロールルームのあるOperation Support Facility(OSF、標高3000m)で撮影した、ヨーロッパ製アンテナと大小マゼラン雲です。ぼんやりと雲のように広がる二つの塊がみえるでしょうか。画面中央、クレーンの上に見えるのが小マゼラン雲、アンテナのすぐ右上に見えるのが大マゼラン雲です。

南天の夜空のハイライトと言えば、南十字とこの大小マゼラン雲でしょうね。この雲のような天体は、マゼランがその世界一周航海の最中に記録したことからその名があります。もちろんこの天体は雲ではなくて、星の大集団=銀河です。その意味では、大小マゼラン銀河と呼んだ方が正確かもしれません。大きさはわれわれの住む銀河系の約1/10、太陽から15万〜20万光年離れたところにある銀河系のお伴の銀河たちです。僕がマゼラン雲を初めて見たのは、2003年に始めてチリに出張して来た時だったと思いますが、その名のとおり雲のようにぼんやりと浮かんでいるのを見つけて感動しました。ホントに雲が浮かんでるように見えるんです。

そしてこの写真。前回と同じく夜シフトのお仕事が始まる前に撮ったので、撮影時刻は現地時間午後9時半くらいだったでしょうか。その時の大マゼラン雲の高度はおよそ10度。こんなに淡い天体がこんなに低い高度でちゃんと写真に写るということが、アタカマの空の素晴らしさを如実に表していると言えます。撮影場所のOSFから見て西の方角には平野にオアシスが点在するため、ところどころに人工の明かりがありますが(と言っても天体写真の邪魔になるほどではまったくないですが)、このマゼラン雲が見える南の方角には人工の明かりがまったくありません。邪魔な明かりもなく、さらに空気が澄んでいるおかげでこの写真が撮れたわけです。

4台見えるアンテナは、上述のとおりヨーロッパの企業連合が製造を担当しているアンテナです。ヨーロッパのアンテナは他の日米のアンテナと異なり、副鏡を支える部分が直線状をしています。例えば以前にブログ記事に日本のアンテナが写っていますが、パラボラの上に突き出している部分が円弧の形をしています。またこのヨーロッパアンテナは熱変形の極めて小さなカーボン素材を多用しています。技術的な困難もあったようですが、それを乗り越えて今は4台がほぼ組み上がった状態になっています。左の塔は、先日も書いたホログラフィータワーのもう1本。タワーの上の明るい星は、エリダヌス座の輝星アケルナルです。オリオン座の隣からずっと南に連なる「エリダヌス川」をかたどった星座の南の端です。もう少し時間がたてば大小マゼラン雲ももう少し高くに上ってくるのですが、いかんせん10時半からの夜シフトの観測当番があったので今回はこれで我慢。我慢というには贅沢な写真かもしれませんけどね。

投稿者 平松正顕 : 12:36 | 海外出張日記 | コメント (2) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2010_9_23_315.html

2010年9月19日

アタカマの天の川

2度目の8日間ALMA OSF滞在を終えて、サンチアゴに戻ってほぼ1週間。書きたいネタはたくさんあるんですが、木曜日はハワイの電波望遠鏡SMAの観測提案締切、今は日本の天文学会の発表準備(チリ出張と重なっていけないので、共同研究者に代理発表をお願いしました)でなかなか(心の)余裕がありませんでした。

先日までのOSF滞在は、夜シフトでした。ALMAの望遠鏡とそれを動かすシステム全体は1日3交代制で休みなくチェックが続けられています。昼シフトは午後3時から午後11時くらいまで、夜シフトは午後10時半から午前6時半くらいまで。この2チームは天文学者からなり、本観測に向けた様々な試験をしています。残りの時間はエンジニアさんたちが技術的問題を解決するための時間です。

で、夕飯食べて夜シフトが始まるまでの時間に撮ったのが、この写真です。撮影機材は、Canon EOS Kiss X3 + Canon EF-S 10-22mmで ISO 3200, 露出60秒。カメラがやってくれるノイズ低減処理だけ行っていて、その後の処理は何もしていません。つまり60秒シャッター開いてるだけでこんな写真が撮れてしまうわけで、最近のデジタル一眼レフカメラはすごい、の一言です。写真撮った後カメラのモニタに表示された画像を見て、そのすごさに暗闇の中一人で笑ってしまいました。

左下、上部が光っている箱のようなものは、アメリカ製のアンテナを組み立てる建屋です。高さは20m以上あるはずです。右側に立っている赤と白の塔は「ホログラフィータワー」とよばれるもの。この先端に電波の発信機が取り付けられていて、組み上がった電波望遠鏡をこの発信機の方向に向けて電波を受信し、鏡面精度を測定します。OSFのはこのためのタワーが2本立っています。天体写真的には邪魔と感じられるかもしれませんが、これもALMAを支える大事な装置。

そして天の川。左下には南十字星と暗黒星雲「石炭袋」。すぐ上にはケンタウルス座のアルファ星とベータ星。写真中央左上の天の川の一番太いところが、天の川銀河の中心です。さそり座といて座も見てとれます。主要な天体の名前と星座線を入れた画像をこちらに用意しました。散開星団や、暗黒星雲「パイプ星雲」まで写っているので自分でもびっくりです。

初回滞在では満月が空にいたので、天の川のような淡い天体の撮影はできなかったのですが、2度目の滞在はちょうど新月近辺だったので、今回のような写真が手軽に撮れました。もう何枚かお見せできる写真があるので、それはまた次の機会に。

投稿者 平松正顕 : 12:16 | 海外出張日記 | コメント (1) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2010_9_19_314.html

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