2008年10月11日
天文学の役割
先のエントリで「なんで科学をやるのか」ということをもっと考えんとなぁ、と思ったのですが、そんなときに教えてもらった国際シンポジウム。
IAU Symposium 260 "The Role of Astronomy in Society and Culture"
なんともタイムリーなテーマです。うーん、行きたいぞこれ。当ブログにもバナー貼ってありますが、来年は国連・ユネスコ・国際天文学連合(IAU)が定めた世界天文年。ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を空に向けて400年です。オープニングイベントがパリのユネスコ本部で開催されるのですが、それが終わった後同じくユネスコ本部で開かれるのが上にあげたシンポジウムです。同時に開催される Art Exhibition も面白そう。天文学は芸術にも影響を与えてきていますしね。「科学は役に立つ」以外の何か、という意味ではこういう側面、つまり文化そのものを作っていくという面もあるだろうなぁと思うので。
海外出張として認められるかどうかは微妙なので、休み取って行かないとだめかなぁ。来年の有給休暇は5.5日っぽいので、そのうち5日をここに突っ込む計算に。。有給休暇もう少し多くてもいいと思うんですけどねぇ。
投稿者 平松正顕 : 19:39
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2008年10月10日
ノーベル賞とネットと。
2000年から2002年にかけての日本人のノーベル賞連続受賞のときと今回とで決定的に違うのは、とてもたくさんの人がブログという道具を持って自分の感想を世界に発信していること。Googleのブログ検索でこの1週間に書かれた「ノーベル賞」を含むブログを検索してみると、その数16,000。自動生成のスパム的ブログも含まれているのかもしれないけど、まあとにかくたくさんの人が記事を書いています。サイエンスカフェなり講演会なりで参加された皆さんの話を聞くことはあっても、そういう場に来ないたくさんの人たちの考えを見ることができる機会はあまりないので興味深いですね。とくに、単に喜んでいるだけではない意見。これら全部真に受けてると身がもたないのでそんなことしませんが、参考にはするということで。
個人的には科学は面白いし役に立つこともあるし、少なくとも興味を持っておいて損はないと思っていますが、すべての人が科学を好きになるべきと思っているわけではありません。天文学に興味を持たない人にも天文学を伝えたいと僕が思っているのは、食わず嫌いするんじゃなくて、せめて好き嫌いあるいは興味のあるなしを判断できるところまではお互いに歩み寄りたいと思っているからで。天文学や科学を押し売りしたいわけじゃないんです。
というわけでノーベル賞が話題になっている今この時、少なくない数の人の意識が科学に向いているはずです。やはり科学をやっているもの、科学コミュニケーションと呼ばれる事柄に関心があるものとしては、このニーズを逃す手はないでしょう。未来館ではさっそく化学賞ネタの緑色蛍光タンパクの展示が人気を集めてるようですし、僕が日本にいる間に関わっていたところでも対応が検討されています。
素粒子論と宇宙がどう関係しているのか、タンパク質が緑色に光るのはなぜか、そういう研究の中身自体もこの機会にたくさんの人に知ってほしいしその面白さを感じてほしいです。が、やっぱり「なんで科学をやるのか」というとっても根源的なことについて研究者が話をしたり、異分野の研究者あるいは研究者でない人と意見交換したりすることが、中身の説明以上に重要なんだろうなと思いました。緑色蛍光タンパクは、下村さんは最初は実用性がないとお考えであったとはいえ今では広く応用されていて、たとえば癌の研究に使われているそうです。一方、ある意味で「目に見える」成果ではない物理学賞。しかも、稼働したばかりで止まってしまったLHC・あんまりニュースにならない気がする日本の新加速器JPARC・官房長官談話に突然出てきたリニアコライダーと、大きなお金をかけて装置を大型化しないと検証できなくなってきた部分も大きいわけです。これは大望遠鏡を欲する観測天文学にも言えることですし、先日のプラネタリウム廃止問題とも通じるものがあります。説明責任という言葉でくくるのが適切かどうかわかりませんが、このご時世にその研究をやる意義をちゃんと考えたり話したり意見交換したりしないといかんだろうなぁ、というのがいくつかのブログを読んだ僕の感想でした。
たとえば 基礎科学の実が結ぶとは - Intersecting Voice Cafe とか 理論研究って - なぎのねどこ とか。「批判は許さない」と言いたいわけじゃないんですが、『別にそんなことしてくれなくてもいいんだけどね。』とか言われてしまうのはとても残念なので。
そういうわけで、この点について真正面から議論するサイエンスカフェがこの機会に登場することを他人事のように期待したりして。対称性の破れを説明するより難しくて大変だろうと思いますけどね。
投稿者 平松正顕 : 16:01
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2008年10月8日
ノーベル化学賞まで!
いやはや、すごいですね。
The Nobel Prize in Chemistry 2008
そして例によって日本語プレスリリース。物理学賞のときとフォーマットが違いますね。違う人が準備してるんでしょうか。
今回の下村さんたちの成果は緑色蛍光タンパク質の発見と開発だそうです。私はもちろん門外漢ですが、テレビやら雑誌やらで動物の体の一部が緑色に光るというのを見たことがあります。でも日本人の貢献があったとは知りませんでした。
物理学賞の南部さんはアメリカに帰化、化学賞の下村さんは日本国籍のままのようですが海外での研究に対する成果。頭脳流出という声もありますが、お二方が海外に出られたのは40年も前。状況が全然今と違ったはずです。今はどうなのでしょう、その風潮は変わってないのかなぁ。まあ、お前が言うなって感じですが。一応日本には戻りたいと思っているのでここはご容赦のほど。
たぶん出るのと同じくらい優秀な人が入ってくればいいと思うんですが、そういう意味では言語の壁は厚いだろうと思います。科学そのものに国境はないですけど、科学者だって人間なので文化が違うとか食べ物が違うとか言語が違うとか、それはやっぱり無視できません。台湾では漢字が読めるので比較的楽ではありますが、漢字圏以外から台湾に来る場合だと結構大変なはず。僕が雇われている台湾の天文研究所ASIAAは公用語が英語で事務の方までみんな英語が話せます。だからこそ日本カナダベトナムクロアチアギリシャ香港オーストラリアインドスペインフランスと、いろんなところから研究者が来ているわけです。東大の数物連携宇宙研究機構(IPMU)も外国籍研究者率が5割を超えたそうで、そういう場がきちんと活用されればよいのでしょうね。
日本出身者の受賞がクローズアップされていますが、海外から日本に研究に来てノーベル賞クラスの成果を上げる研究者を輩出することも目指していいんじゃないかと思います。ノーベル賞を目指せと言っているわけではありません、念のため。もちろん日本人も負けずに成果を出すべきです。それができてこそ、ほんとうに国境のない科学が実現できているといえるのかもしれないなぁと思う今日この頃です。
投稿者 平松正顕 : 23:56
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2008年10月7日
ノーベル物理学賞!
これはすごいことに。
The Nobel Prize in Physics 2008
日本語のプレスリリースもあるのがさすが。
南部陽一郎、小林誠、益川敏英の3氏。いつかは、と前から言われていた方々ですが、ついに、という感じですかね。高校の時、小林さんとのお書きになったブルーバックス「消えた反物質」を読んでほとんどわからなかった、とかいう記憶があるのですが、いやはや、今読んだらもう少しはわかるかな?
こういうときに日本の報道にじかに触れられないのは残念(NHKは一応見られる)ですが、これを機に素粒子物理/核物理のわかりやすい解説記事とかテレビ番組とかができてくるといいですね。
KEKや京大やその他広報関連の皆様、大変だと思いますがお体壊されないようにしてくださいね。
投稿者 平松正顕 : 19:32
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2008年10月7日
小惑星2008TC3の地球衝突
昨日(?)発見された小惑星2008TC3が、あと1時間くらいで(日本時間11時46分)地球に衝突するそうです。予想衝突地点はアフリカ北部スーダンとのこと。
とはいっても大きさは数メートルと見積もられているので、大気圏突入時に燃えて(蒸発して、が正しいか)大流星になるのでしょう。これは見てみたい。カケラは降ってくるのかな?
スペースガード協会をはじめLINEAR、NEATなどたくさんの地球接近小惑星探査プロジェクトが進んでいますが、こういう小さいのはなかなか見つけにくいようですね。星の情報.jpによれば見つかったのは月地球間距離の1.27倍。約48万kmってところですか。とはいえ、大きさ数メートルのものを48万kmかなたから見つけるんだからたいしたもんです。この大きさの天体は毎年降ってくるレベルだそうですが、逆にいえばそういうものまで(直前とはいえ)観測できて情報を得ることができるようになった、ということですね。
投稿者 平松正顕 : 11:08
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2008年10月4日
Large Hadron Rap に負けるな(?)
木曜日、イリノイ大学からいらっしゃったLaird A. Thompson教授と天文研究所の数人で、新竹市街にある「新橋」という日本風焼き肉屋さんに夕飯に行く機会がありました。台湾には「日式」という看板を掲げる飲食店がたくさんあるんですが、本当に日本風かというと???な店もたくさんあります。今回行ったところは"日本度"かなり高めでした。
店内のBGMも日本の音楽でした。ちょうど Bump of Chicken の「天体観測」がかかっていたので、この曲のタイトルは Astronomy Observation で歌詞でも望遠鏡で星を見ようとするのだ、と教えてあげました。すると教授さん、「そうそう、Large Hadron Rap は知ってるか?」と。このLHR、先日稼働していまはトラブルからの復旧作業中のLarge Hadron Collider (LHC)をネタにしたラップで、LHCの仕組みとか働きとか狙いをうまく表現していると日本でもちょっと話題になったシロモノ。教授によるとCNNにも取り上げられたとか。「天体観測」はそういう歌ではないですが、こういう方面で天文学の面白さを表現してみるというのもアリですね。
というわけで(?)、我らがAstronomical Toilet Paperが世界中を旅した様子を動画にしてみました。合成写真は1枚もありません、念のため。全部現地で撮ったものです。
今年最強の台風に閉ざされていた先週末に作ってみたものです。VAIO Movie Storyというソフトに集めた写真を突っ込んでキャプションを入れるだけの簡単操作。ご覧いただいた方はご感想などいただければと。
投稿者 平松正顕 : 19:02
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2008年10月1日
ATP on MONOマガジン
先日の台風が去ってから台湾も急に涼しくなってきました。とはいってもまだ最高気温28度くらいありますが、長袖を着ている人もチラホラ。そこまで涼しくはないと思うんだけど。
さて、我らが看板商品Astronomical Toilet Paperが、モノ・マガジンNo.592に掲載されています(表紙に大書されている文字は、、とりあえずここではスルー)。まだ実物は見てないのですが、このウェブページから予想するに
第4特集 “オモシロい”は本物の証 男の面白グッズカタログ
単におかしいもの、ユニークなモノは五万とある。もちろんそれも楽しいがモノ・マガジン流はそうしたジョークグッズではなく、本当に機能するもの、プロフェッショナルが提案したものを“オモシロGoods”と呼ぶ。オモシロさを突き詰め本物と呼ぶに相応しいグッズ、大集合!
あたりでしょうか。"ジョークグッズではなくプロフェッショナルが提案したもの"としてATPが取り上げられているとしたら、ATPを作った当初の考え 「まず手に取ってもらうためにおもしろく、そして手に取ってもらったあとは真剣に天文学を伝える」 は間違っていなかった、ということですね。最初にメディアに出て3年半以上経つATPをいまだにこうして取り上げてもらえるのは、とてもうれしいものです。毎日新聞理系白書の記事にも紙面ではATPの写真入りで載っているようですし、ATPの大活躍はまだまだ終わりません。
投稿者 平松正顕 : 19:47
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