::使用説明書 【文責】高梨

 Tenpla "Seiza" Resolverの機能や、扱っている内容について説明します。


■Tenpla "Seiza" Resolverの機能

 Tenpla "Seiza" Resolverでは、赤経・赤緯を入力するとその座標は何座に属しているのかについて答えてくれます。さらに、その領域が星図上でどこらへんに位置しているのかについてもグラフィカルに教えてくれます。おお、便利。基本的な機能はこれだけです。
 便利な機能としては、入力した座標を利用して、SimbadAladinといった研究者向けサイトにも飛ぶことが出来ます。ただし、あくまでも座標だけわかっていて名前がわからない天体の所属を調べる目的で開発されたプログラムですので、天体のIDから座標を調べるといった一般的には基本的な機能はついていません。この場合は、SimbadNEDなどをご利用下さい。Stella Navigaterをお持ちの方は、出力される座標をadfファイルに登録すればちゃんと表示されるはずです。たぶん。←私は持っていない

■赤経/赤緯について

 詳しい説明は、ここなんかを参照して欲しいのですが、簡単に言えば、星図上の住所みたいなものです。赤経/赤緯の名前からも推測できるように、緯度/経度と同じようなシステムで、天球上の場所を指定することが出来ます。天文学では、伝統的に赤経(東西方向)は0〜24時、赤緯(南北方向)は-90〜+90度で表現します。赤緯はわかりやすいんですが、赤経の0〜24時というのは経度と表現方法が違うため、少しわかりにくいですね。これは、地球が約24時間で1回転することを利用した表現で、1時間が15度に相当します。時計の針が12時間で1周するから、時計には12個目盛がふってあるのと発想は一緒です。世界的には、時分秒に相当するものは“h m s”と書きます。それぞれ、hour minute secondの頭文字をとったものになっています。ただし、この赤経の場合に限り、15度=1h=60m=3600sとなっている事に注意して下さい。1度=60分=3600秒というのがふつうの度分秒の関係ですが、赤経では異なっています。よく引っかかりますよ、注意注意。

■分点について

 地球は歳差運動を行っているため、同じ星でも毎年見える場所が微妙にずれていきます。そのため、天文学では基準とする年を決めて、その年の天体の位置関係を基に地図を作っています。その基準の事を「分点」と呼びます。天文学では、最近では2000年分点が使われますが、ちょっと古いデータだと1950年分点なんかも使われます。Tenpla "Seiza" Resolverでは、2000年分点に統一して表示するように設定されています。

■使用しているデータについて

 Tenpla "Seiza" Resolverでは、以下のデータ/計算式を利用しています。

 [星座境界線]
 ・Identification of a Constellation from a Position (Roman N. G. et al. 1987)
 [明るい星リスト]
 ・Corrected Bright Star List, 1997 Astronomical Almanac H2-H31 (USNO)
 [分点の変換]
 ・「天体軌道論」P32,(9.8)式 (長谷川一郎著、恒星社、1983)

 星座境界線のデータ、初めて知ったんですけど公式のものは1875年分点なんですよね。なんじゃ、そりゃ。仕方がないので、星座に含まれているかどうかの判定は入力された座標を1875年分点に変換して比較、表示の時は2000年分点に統一して表示という多少トリッキーな事をしています。ご注意下さい。


[update:2005/08/18]