2008年9月8日

Black Callisto

昨晩、観望会中からその後 1 時間あまり、
ちょっとした騒動があったので(笑)、その様子をご報告します。

*****

え〜、まずは事の発端から、時系列で追っていきましょう!

19:30
観望会は 1 家族の貸切でした。
非常に天気が危ぶまれたものの、西から徐々に晴れ、
雲間を縫っていろいろな天体を見せることができました☆
よかったよかった。

木星を見せようと導入したとき、

(なんか、衛星の影みたいなのが見えるな…)

と思いつつ、雲まで木星が見えたり消えたり、という状況だったので、
深くは追求せず。
19 時の回の観望会が終わったとき、上司に話した程度。


20:20
20 時の回の観望会も 1 家族の貸切。
木星あたりがすっきりと晴れたため、木星を見せました。
今度はその「影のようなもの」がくっきりと。
上司もお客さんも確認しました。

「木星の周りにも、地球の月のように『衛星』が回っているんですが、その衛星の『影』が木星に映ることもあるんですよ。」

と話しつつ、ステラナビゲーターで確認すると…

エウロパは木星の裏。
イオとガニメデは木星に対し太陽とは反対側(木星面に影はできない)。
カリストが木星に重なっている(位置的に影ではない)。

という状況。

「あれ、衛星の影じゃありませんね。何でしょう?」

と言いつつ、実際なんだかわからないので、それ以上説明できず・・・(>_<)

「残念ながら、今の段階ではなんだかわかりませんね。もしかしたら新発見で、皆さん目撃者になったかもしれませんよ?(笑)」

と、いうことで、観望会は続行。
すごくよく晴れたので、M57 や M13 もくっきり!


21:00
観望会終了後、なんだかわからないままではすっきりしないので、
とりあえず、一眼レフデジカメで写真を、ウェブカメラで動画を撮影。
位置が動いていることに気付く。

とりあえず、ひたすら撮りまくる(笑)


22:00
その影のようなものが、木星面から外れる。


で、上司と一緒に撮影しながら議論しました。

・ガリレオ衛星以外に地球から影が見える衛星はない。
・動く速さが、感覚的に木星の自転と同じくらいのような気がする。
・木星面には同じような位置にカリストがいるはずだが、
 衛星も太陽光を跳ね返しているので、光って見えるはず。
・ほとんど丸い。
・SL9 の衝突痕のようにも見える? 何かぶつかった!?
・でも、木星の縁に行っても形状が変化しない。

というわけで、なんだかわからず、
mixi の日記上で目撃情報を求めるとともに、
JAPOS (日本公開天文台協会)の ML でも情報を募集したのでした。

昨日はそれ以上何もできずに就寝。。。

*****

翌日、JAPOS の ML でいろいろな方から情報をいただき、あっさり解決したのでした(笑)

さて、では黒い点の正体は何だったかというと…

ずばり、衛星カリストそのものでした!!

たしかに、ステラナビゲーターなどで見ると、
その位置にはカリストが見えているはずなのです。

では、なぜ黒く見えたのでしょう?

衛星も太陽光を反射して光っています。
だとしたら、白い点として見えるはずですよね。

これは、カリストの物理的性質に原因があります。

お手持ちの人は、
天文年鑑 2008 年版 P194 を見てください。
そこに衛星の主なデータが載っていますが、
注目すべきは、反射能の欄です。

イオ 0.6
エウロパ 0.6
ガニメデ 0.4
カリスト 0.2

そう、カリストは「黒い」んです。
たしかに、ボイジャーやガリレオ探査機の画像でも黒っぽく見えます。
そして、木星の反射能は 0.52。

ゆえに、明るい木星を背景にすると、
反射能が小さいカリストは黒く見えてしまう、ってことです。
両方とも光っているのには変わりはないんですけどね。

同じようなことは太陽の黒点にもいえます。
黒点だって、光っていないわけじゃありません。
でも、周りより温度が低いから、相対的に黒く見えるのです。
それと、同じようなことですね。

というわけで、めでたく解決したというわけでした☆

それにしても、数字でわかっていても、
実際に見ないと気づけないことってあるんだなぁ、としみじみ実感しました。

写真は後日、アップしますね。

投稿者 KEN : 18:20 | 星の子たより

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