★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [3]【コラム】月の不思議 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 月。私たちに一番身近な天体として、古代より人々に楽しまれてきました。今回 は、その月の見え方に関する3つの不思議についてお話していきます。 ○ 高いところにある月よりも、低いところにある月の方が大きく見えるのはなぜ? 低いところにある月、特に満月を見て、月がとても大きく見えると不思議に思っ た経験のある方は多いのではないでしょうか?この現象、本当に月の見た目の大 きさが大きく変化しているわけではなく、実は人間の目の錯覚によるものです。 低いところにある月のまわりには、地上の建物や木々といったような、人の脳が 月の大きさを判断するための材料があるため、それらの対象物と比べることで月 が大きく見えてしまう、というわけです。一方、高いところにある月のまわりに は、それら対象物が一切ないため、小さくみえるのです。もしお財布の中に五円 玉があれば、これを確かめることができます。五円玉を手に持ち、腕を伸ばして 月をその穴の中から覗いてみましょう。高いところにある月も、低いところに あって大きく見える月も、同じようにその穴の中にすっぽりと収まるはずです。 ○ 月が赤く見えることがあるのはなぜ? 空高くでは白っぽい月が、地平線近くで赤っぽく見え、驚いた経験のある方もま た多いのではないでしょうか?これには光の散乱が関係しています。虹の七色で 表現されるように、ふだん私たちの目にしている光には、赤から青色までさまざ まな色の光が混ざっています。それらすべてが組み合わさると、白っぽい色に見 えます。これがふだん見慣れている月が白く見える理由です。月の光が私たちの 目に届くには、地球の大気の層を通り抜けてくる必要があります。地球を取り巻 く大気の層は、地上から見ると真上方向よりも地平線方向の方が分厚くなりま す。地平線方向にある月の光は、真上方向にいるときよりも長い距離大気の層を 通るので、大気中の分子にぶつかって散乱されやすい青色の光は届きにくく、逆 に散乱されにくい赤い光は届きやすいので、地平線方向の月は赤っぽく見えるの です。月が地平線近くにあるのに加え、もしその日の大気中の塵の量が多けれ ば、より青い光は散乱され、月は赤く見えるでしょう。 ○ 三日月をよく見ると、ぼんやり丸く光っているように見えるのはなぜ? これは地球照という現象で、その名の通り、太陽の光が地球に反射し、その光が 月に反射して見えるものです。この地球照の光は驚くことに、地球外生命につい ての研究に応用することができます。地球からの反射光の中には、地球上に生息 している植物などの生命の情報が含まれています。もし宇宙のどこかで地球型惑 星が見つかったとしたら、地球照の光から得た生命の情報を地球型惑星の観測時 に照らし合わせ、同じような生命がいるかどうかを調べることができるのです。 いかがでしたか?最近では、値段も1千円台~とお手頃な手作り天体望遠鏡が販 売されています。そのような天体望遠鏡を使用して、月のクレーターや地球照な どを観測してみても楽しいかもしれません。 野沢由依 天プラ