★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [4]【コラム】私たちにとって最も身近な天体 ~月~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 「私たちにとって最も身近な天体 ~月~」 日本では明治時代まで月の満ち欠けを暦として生活するなど、「月」は、昔から 私たちにとって最も身近な天体として親しまれてきました。空を見上げれば、夜 空に、時には昼空にも、昔と変わらぬその姿を見つけることができるでしょう。 :中秋の名月 ~十五夜~ 2013年9月19日は中秋の名月です。中秋の名月とは、旧暦の8月15日の夜に見える 月のこと。新月の日を朔日(ついたち)として、15日目の月のことです。ただし、 中秋の名月がいつも満月であるとは限りません。現代では、満月は地球をはさん で太陽の反対側に月がいる瞬間の事を指します。今年の十五夜は偶然にも満月で すが、この日を逃すと次は2021年まで中秋の名月と満月がぴったり一致する日は ありません。そう考えてみると、今年はちょっと特別な気持ちで月を眺めてみた くなりますね。 :月の表と裏 ~月のうさぎ~  気づいている方がほとんどだと思いますが、地球にいる私たちには、いつも月の 同じ面が見えています。それは月の「自転周期(27.32日)」と「公転周期」が一 致しているからです。 私たちが見ている側を表側、その反対側を裏側とすれば、月の表側と裏側ではず いぶん様子が違っています。表側は裏側に比べてのっぺりした場所が多く、裏側 はもっとぼこぼこしています。望遠鏡で月をご覧になったことがある方だと、あ んなにクレーターだらけでぼこぼこしているように見えるのに!と驚かれるかも しれませんね。 表側にたくさんある、のっぺりとして黒い部分は「海」と呼ばれています(液体 の水があるわけではありません!)。なぜ表側に「海」が多いのかはまだよくわ かっていませんが、「海」は天体の衝突でできたクレーターをマグマが埋めてで きたことはわかっています。日本では月の表面の模様をうさぎの姿に見ています が、実は「うさぎ」の部分はこの海でできています。具体的にいうと、うさぎの 耳は「豊かの海」、「神酒の海」と呼ばれているところにあたります。 私たちのとても身近にありながら、その生い立ちなどまだまだ謎に包まれている 月。空気が澄んですっかり秋らしくなった今日の十五夜はちょっと見方を変えて 楽しむのも、乙なものかもしれません。 浅見 奈緒子 日本教育大学院大学 / 天文学普及プロジェクト「天プラ」