★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [5]【コラム】午年のはじまり 星のはじまり ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆  冬は星空が一層きれいに見える季節。明るい星が多いため、ふと夜空を見上げ ただけで、意外なほどたくさんの星が見えるのではないでしょうか?明るい1等 星が全部で8つ…今年はそれらに木星が加わってさらに華やかです。そんな冬の夜 空には、今年2014年に関係する星座が1つ、隠れています。今年2014年の十二支 は午(うま)。午は馬のこと…そう、冬の夜空に隠れているのは“馬”にまつわる 星座なのです。  冬の夜空でひときわ目立つオリオン座…冬の代表的な星座の一つです。その肩 に輝く1等星ベテルギウスと、東側に輝くおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプ ロキオン。これら3つの星を結んでできる大きな三角形を、冬の大三角といいま す。明るい都会の空では、この三角形の中に星を見ることはほとんどできませ ん。ところが、実はこの中に2014年にまつわる“馬?”の星座があるのです。それ が、いっかくじゅう座。伝説の動物ユニコーンの星座です。馬?とクエスチョン マークをつけたのは、ユニコーンは決して「角が生えた馬」ではないからです。 辞書を引くと『ヨーロッパの伝説上の動物。馬のような体で、ねじれた1本の角 (つの)をもつ。』などと書かれています。“馬のような体”を持っているので あって、“馬”ではないようです。とはいえ、姿かたちはどう見ても角が生えた 馬。午年の2014年にふさわしい星座といって間違いはないでしょう(ほかに馬? をかたどった星座としては秋のペガスス座とこうま座があります。半人半馬のケ ンタウルス族の星座、いて座とケンタウルス座は……微妙なところですね(笑)。  このいっかくじゅう座には美しく興味深い天体がいくつかあります。そのうち の一つが、いっかくじゅうの頭の位置に見られる「ばら星雲」。その名の通り、 赤いばらの花のような姿をしています。中心部には若い星たちの集まりである散 開星団NGC2244が広がっています。赤い光は星の材料となる水素が、中心にある 若い星が出す強烈な紫外線で電離して光っているものです。写真で見ると、星雲 の中に黒いしみのようなものがあります。これらはグロビュールと呼ばれ、水素 ガスや塵などが濃く集まり密度が高まっているところ。ここからやがて星が生ま れます。ばら星雲は生まれつつある星のゆりかごでもあるのです。  冬の夜空には、実はこのような星のゆりかごがたくさんあります。オリオン座 にはオリオン大星雲や馬頭星雲(これも“馬”ですね!)、おうし座にもたくさん あります。中には街中でもよく晴れていれば肉眼で見えるものもあります(オリ オン大星雲など)。新しい年の始まりに、2014年午年にゆかりのある星座、そし て生まれゆく星たちの始まりの姿を眺めてみてはいかがでしょうか。 ※美しいばら星雲の写真は、例えばこちらから見ることができます。  http://apod.nasa.gov/apod/ap070214.html(NASA)  http://www.nao.ac.jp/contents/astro/gallery/Extrasolar/Nebulae /ngc2237.jpg(国立天文台) 塚田 健 平塚市博物館 / 天文学普及プロジェクト「天プラ」