★☆★☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆ [5]【コラム】「流れ星観望のススメ」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 今年ももうすぐふたご座流星群の季節がやってきますね。 毎年この流星群の季節がやってくると、年の瀬を感じる方もいるのではないで しょうか。ふたご座流星群は、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星 群と並んで三大流星群と呼ばれ、毎年比較的多くの流れ星が見られることで知ら れています。今年は12月14日の21時ころに出現のピークを迎えますが、その前後 数日は月が出てくる前であれば、流れ星を見られるかもしれません。 世界には、流れ星や流星群が悪い予兆だと考えられている国もあります。しか し、日本では古くから「流れ星に願い事を3回唱えると願いが叶う」と言われて いるので、流星群が見られると聞くとなんとなくうれしい気持ちになりますよね。 現在確認されている流星群は年間通じて95あり、実は12月中だけでも大小合わせ て15の流星群があるのです。流星群とは天球のある一点を中心として複数の流れ 星が流れる現象をいい、一般的にはその一点がある星座の名前をつけて呼びます。 先日話題になったほうおう座流星群(編者注:執筆者はこの観測隊の一員で す!)も、この95の流星群の中に含まれています。しかし、1956年に南極観測船 「宗谷」の船上で観測されたきり大規模な出現を見せていないため、幻の流星群 と呼ばれています。「ほうおう座」なんて聞き慣れない星座かもしれませんが、 実は日本からでも見ることができる星座です。このようにさまざまな流星群を知 ることで、今まで知らなかった星座やその歴史、成り立ちなどを知る良いきっか けにもなることでしょう。 クリスマスの直前には、こぐま座流星群もピークを迎えます。例年であれば、ど んなに良い条件の空であっても1時間あたりに3~5個程度しか流れないのです が、このこぐま座流星群は14年周期で出現数が増えることが知られています。今 年はちょうどその年に相当しているため、例年より少し多く、1時間あたり 15~20個流れると期待されています。 ただ、だからといって空を見上げればいつもよりたくさんの流れ星が必ず見える というわけではありません。たくさんの流れ星を見たければ、天の川まで見える ような澄んだ暗い夜空の下で、じっくりと眺めていないと流れ星に出会うことは 難しいでしょう。特に流れ星を見慣れていない人にとっては、こぐま座流星群の ように出現数の小さな流星群を見ることは至難の業かもしれません。 しかし、そうは言っても、師走の空をじっくりと眺めるのは悪くありません。な んといっても、冬の星空は見どころがたくさんあるからです。流れ星を見るため だけなら、双眼鏡や天体望遠鏡を用意する必要もありません。冬の大三角や冬の ダイヤモンドを探しながら、冬の星座の間を駆け抜ける流れ星を待ってみてはい かがでしょうか。もちろん、夜はたいへん冷え込みますので防寒対策は万全にし ましょう。そして流れ星にお願いする願い事を用意するのもお忘れなく。 土屋 智恵 放送大学 / 天文学普及プロジェクト「天プラ」