★☆★☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆★☆ [7]【コラム】「七夕とその星々」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 今年の7月7日の六本木は夕方から空が雲に覆われてしまい、残念ながら七夕の 星々を眺めることができませんでした。ですが、各地で行われる七夕祭りの中 には、これから行われるものも少なくありません。7月7日以外にも“七夕”が あるのです。 ひとつは、1ヶ月遅れの8月7日。ちょうど1ヶ月違うところが、新盆と旧盆の関係 みたいですね。この日は、有名な仙台七夕まつりが開催される日です。他にも、 北海道をはじめ、8月7日に七夕行事を行っているところが全国各地にあるようです。 もうひとつは、旧暦の7月7日。伝統的七夕とも呼ばれています。2016年は、新暦 の8月9日が、ちょうどこの日にあたります。国立天文台ではこの日に合わせてラ イトダウンキャンペーンを呼びかけていますので、ふだんよりも星々が見やすく なるかもしれません。 もちろん、七夕の星々はこれらの日にだけしか見えないものではありません。夏 の間は、ずっと頭の上に見えています。まだ見たことがない人も、もう何度も見 たという人も、この夏はあらためて七夕の星々を見上げてみませんか? 以下、見どころをご紹介しましょう。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「織姫星(織女:しょくじょ、ベガ)」 織姫星として知られること座の0等星ベガは、夏の大三角形を形作る星のひとつ です。8月上旬の21時頃には、頭の真上の方に見えています。等級は0等と1等星 よりもさらに明るく、青白く輝いています。 「彦星(牽牛:けんぎゅう・アルタイル)」 彦星は、わし座の1等星アルタイルのことです。このアルタイルも、夏の大三角 形を形作る星のひとつです。ベガと同じく、8月上旬の21時頃には、頭の真上の 方に見えています。色は白く、天の川を挟んで織姫星と対をなしており、この位 置関係が七夕伝説のもとになりました。 「天の川とはくちょう座」 先日の七夕観望会では、天の川が見られることを期待して来場されたお客様もい らっしゃったのですが、残念ながら都会では天の川を見ることはできません。で すが、そんな都会の夜空の中でも、天の川がどのあたりにあるのかを教えてくれ る星座があります。それが、はくちょう座です。 もちろん、十分に暗いところでは、天の川の中で翼を広げる白鳥の姿を見ること ができますが、都会でも十字架の形に並ぶはくちょう座の星々を見つけることが できます。この十字架は、みなみじゅうじ座と対比して「北十字」とも呼ばれ、 夏の星座の中でもとても目立ちます。このはくちょう座が飛ぶ前後の方向に、天 の川が流れています。 中国の伝説では、はくちょう座の羽根にあたる部分が、織姫星と彦星を結ぶ「カ ササギの橋」であるとされています。 なお、はくちょう座のおしりのところにあるデネブは、夏の大三角形を形作る最 後の1等星です。夏の大三角形の中で最も 北寄りに光っています。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 余談ですが、吹奏楽には「たなばた」として有名な「The Seventh Night of July」という曲があり、原稿を書きながら頭の中に曲が流れておりました。吹奏 楽をやってきた方なら1度は聞いたことがあると思われるほど有名です。星を テーマにした曲といえば、ホルストの「惑星」が有名ですが、他にも星々をテー マにした曲はたくさんあります。参考に挙げますので、もし興味をお持ちになっ たらぜひ聴いてみてください☆ 「The Seventh Night of July」Cond. 酒井 格 織姫と彦星の掛け合いのフレーズが素敵な、高校時代の作曲者が書いた曲です。 「スター・パズル・マーチ」Cond. 小長谷 宗一 吹奏楽の甲子園、吹奏楽コンクールの課題曲。その後も演奏会などで演奏され続 けています。きらきら星やスターウォーズなど、星をモチーフにした曲のフレー ズがあちこちに散りばめられています。 「アルビレオ」Cond. 保科 洋 こちらも吹奏楽コンクールの課題曲。曲名は、はくちょう座のくちばしのところ にある大変美しい二重星の名前です。 瓜生 こずえ 天文学普及プロジェクト「天プラ」/ 星空案内人(R)