★☆★☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆★☆ [8]【コラム】「街の中で見上げる夏の夜空。あなたの気になる星は…」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 梅雨明けからしばらく経ちましたが、毎日暑い日が続いていますね。昼間は外に 出るのも大変ですが、夜になると涼しい風も吹いて、少し過ごしやすくなりま す。涼しくなったからといって、わざわざ外に出て星を見ようという気にはなら ないかもしれませんが…いや、そんなことはないと信じて、今回は夏のお出かけ の帰り道、ふと空を見上げたときに気になるであろう明るい星たちを紹介します (8月18日、21時ごろの東京の空を基準としています)。 あなたが夜空を見上げたとき、気になるのは… ★ 西の空にぽつんと、オレンジ色にきらきら光る星がある  →うしかい座の0等星「アークトゥルス」 うしかい座は春の星座ですが、今の時期でもまだよく見えているのがこの星で す。日本では「五月雨星(さみだれぼし)」という呼び名もあり、梅雨の時期に は晴れ間から真っ先に見えてくる星です。日本で夏に見られる星の中では一番明 るい星です。 ★ 南の空にとても明るく目立つ星がふたつ  →地球の兄弟星「火星」と「土星」 地球と同じく太陽のまわりをまわる惑星たちです。周りの星々に比べて明るく、 ほとんど瞬かずに光るのでとても目立ちます。色を見比べて、赤っぽい色をして いるのが映画や小説でおなじみの火星。黄色っぽい方が美しい環をもつ姿でよく 知られる土星です。望遠鏡で見るとさらに魅力的ですが、自分の目でも光り方の 違いから、ふつうの星と惑星を見分けることができるのは面白いところです。 ★ 南の空には、よく見るともうひとつ明るい星がある  →さそり座の1等星「アンタレス」 今年は土星と火星の明るさで霞んでしまいがちですが、夏の南の空を代表する明 るい星です。火星のような赤っぽい色をしていることから、明るさや赤さを競い あっている、として「火星に対抗するもの」という意味をもっています。どちら が赤いか、ぜひ比べてみてください。火星と土星とアンタレスで作る小さな三角 形はこの夏限定で、日によって少しずつ形が変わっていくので注目です。8月24 日には、3つの星がほぼ一直線に並びます。アンタレスと火星の競争もクライ マックスを迎えるのかもしれません。 ★ 頭の真上にも、明るい星が3つ見える  →こと座の「ベガ」、わし座の「アルタイル」、はくちょう座の「デネブ」   夏の大三角! あまり頭の真上ばかり見て歩いていると危険ですが(体験談)、白く光る3つの 明るい星が大きな三角形を作っています。どれがどの星か見分けるのはなかなか 難しいのですが、小学校の算数で使う三角定規の細長い方(90度-30度-60度のも の)に例えてみましょう。  ○ 90度の位置 → ベガ  3つの中で一番明るいのがこと座のベガです。日本では七夕の織姫星として  知られています。星の明るさを決める基準となった星でもあります。  ○ 30度の位置 → アルタイル  三角形の一番とがったところの星がアルタイルです。近くにちょこんと暗め  の星が見えたら、それも目印になります。七夕では織姫のお相手、彦星とさ  れています。  ○ 60度の位置 → デネブ  条件が良ければ、デネブから夏の大三角の内側に向かって、星が十字架の形  に並んでいるのが見えるかもしれません。これがデネブの目印でもある、は  くちょうの体の部分です。白鳥が翼を広げて飛んでいる姿が、想像できます  でしょうか。 星を見上げて「あ、星だ」から「あ、○○座の○○だ」に変わるとき、なんだかその 星と急に親しくなった気がしてきます。仲良くなった星は、次の年の夏にもまた 会えるかもしれません。夏の思い出のお共に、ぜひ、お気に入りを見つけてみて はいかがでしょうか。 長谷川 優子 天文学普及プロジェクト「天プラ」