★☆★☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆・‥‥━━━☆★☆ [3]【コラム】「春の星空の案内役」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★☆★☆ 4月になり、晴れた日にはだいぶ暖かさを感じるようになってきましたね。先週 末にはお花見をした方もいるのでは?夜桜とともに、夜空に輝く月をご覧になれ たのではないでしょうか。 これからの夜空は、春の星座が主役です。春は星や星座を見つけるための分かり やすい目印があって、「星や星座の位置が全然分からない」という方にも親しみ やすい季節なんですよ。 4月の夜9時ごろに夜空を見上げたら、まずは「北斗七星」を探してみましょう。 北の空を見ると星が7つ、柄杓(ひしゃく)の形に並んでいます。とても分かり やすい星並びですから、空をぐるりと見渡せば見つけることができます。4つの 星で四角形になっている部分が水を汲むところ、残り3つの星が柄杓の柄(手で 持つ部分)にあたります。北斗七星は、春の星空の素晴らしい案内役です。柄杓 の柄の部分を見ると曲がっています。このカーブをそのまま先へ伸ばしていく と…黄金色の明るい星にぶつかります。うしかい座の1等星「アークトゥルス」で す。アークトゥルスからさらにカーブを伸ばしていくと、おとめ座の1等星「ス ピカ」が見つかります。北斗七星からアークトゥルスを経由してスピカまで伸ば した大きな曲線が「春の大曲線」です。 ここで注意です!アークトゥルスから伸ばした先にあった星は、アークトゥルス よりも明るい星でしたか?もしもそうだとしたら、その星はスピカではありませ ん。その明るい星の下にある、白っぽい色をした星がスピカです。では、あの明 るい星は?…これは「木星」です。木星は太陽系最大の惑星で、直径は地球の11 倍もあります。望遠鏡で見るのにオススメの天体のひとつです。見どころのひと つは、木星の模様です。木星のガスでできた雲のしましま模様が見られますし、 タイミングによっては「大赤斑(だいせきはん)」と呼ばれる木星の雲の渦が見 られることもあります。 さらに、木星の衛星群の中でも特に大きなガリレオ衛星と呼ばれる4つの衛星 も、望遠鏡で見ることができます(木星の裏に隠れてしまうこともあるので、4 つ全ては見えない時もあります)。ぜひ六本木天文クラブに参加して、木星に向 けた望遠鏡を覗いてみてくださいね。木星は4月~7月ごろまで宵の空で見やすい ですから、春の星座と一緒に肉眼でも探してみましょう。 さて、アークトゥルスとスピカが見つかったら、綺麗な正三角形を作るように、 南の空に見えているしし座の2等星「デネボラ」も線で繋いでみましょう。これ が「春の大三角」です。 今回登場した星は、どれも市街地の星空で見つけることができます。晴れた日に は春の星空の案内役「北斗七星」から探してみてはいかがでしょうか?ただし、 今年は木星をつなげて「春のニセ大曲線」や「春のニセ大三角」にならないよう に気をつけて下さいね! 宮野 彩 相模原市立博物館 / 天文学普及プロジェクト「天プラ」