2008年6月19日

Hoshinoko-Dayori on August

さて、5 月にも紹介した「星の子便り」の記事ですが、
またまた偶数月の原稿依頼がめぐってきました。
今回は 8 月号ということで、ネタには困りません(笑)

というわけで、夏の大三角と天の川について書きました。
ペルセ群について書いてもよかったのですが、星の子館で伝統的七夕のイベントをするので、
七夕の星の方がいいかなと。

というわけで、こちらに掲載します☆

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星の子便り 8 月号より

たなばたの星(おりひめ星・ひこ星)と天の川を見よう!

 七夕は毎年 7 月 7 日ですが、この日はまだ梅雨の真っ最中。
おりひめ星やひこ星を見られないことが多いんですよね。
なんでそんな雨の多い時期にお星さまのお祭りをやるんだろう?って思うかもしれませんが、
実は、昔の 7 月 7 日と今の 7 月 7 日は、使っている暦(カレンダー)がちがうのでずれているのです。
昔の 7 月 7 日は、今のカレンダーでいうと今年は 8 月 7 日になります。
(星の子館でも 8 月 7 日に七夕会がありますよ!)
この時期なら、梅雨もきっとあけていますね!

 というわけで、さがし方を説明しましょう。下の絵を見てください。
(この blog では絵がないので、こちらを見てください。)
この絵の真ん中が頭の真上です。そして、自分のおなかが南を向くようにして、頭の真上を見上げます。
真上のほうに見える、明るい星でできる大きな三角形。これを「夏の大三角」といいます。
その三角形の 3 つの星のうち、一番南側に低い星、これがひこ星です。
またの名を「わし座」の「アルタイル」といいます。
一方、おりひめ星はというと、三角形の星のなかで一番右側に見える星(おなかが南のままですよ!)。
またの名を「こと座」の「ベガ」。三角形の残りの星は「はくちょう座」の「デネブ」という星。
はくちょう座は、おりひめ星とひこ星のあいだにある「あいあいがさ」にも見えますね!

 そして、七夕のお話どおり、おりひめ星とひこ星あいだには天の川が流れています。
街明かりのないくら〜いところに行くと、ベガとアルタイルのあいだにボーっとした雲みたいなものが見えます。
これが天の川。その正体はたくさんの星の集まりです。

 夏休み、空が暗いところに出かけたら、ぜひ空を見上げてみてください!
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本当は、文+星図+星座絵、っていう構成なのです。

投稿者 KEN : 17:33 | 星の子たより | コメント (82) | トラックバック (63)

2008年6月18日

"The Hazards of Space Travel: A Tourist's Guide"

すみません、グッズじゃありません m(_ _)m
というか、宣伝です(笑)

タイトルの本が出ました。
というか、出てました(笑)

もちろん、僕が書いたんじゃありません。
訳したわけでもありません。
ただ、縁があって訳のチェック等を少々お手伝いしたもので。

著者はニール・F・カミンズ。
有名な著書は『もしも月がなかったから――ありえたかもしれない地球への10の旅』ですね。
愛知万博で、三菱未来館のテーマに採用されました。
こちらはまだ読んだことないのですが・・・。

今回の本の邦題は『もしも宇宙を旅したら――地球に無事帰還するための手引き』です。
SF であって、SF ではないような・・・そんな感じです。
もちろん、中に出てくる宇宙旅行はフィクションですよ。
でも、そこで起こりうることは十分科学的で、ありうることばかりです。
ある意味、楽しい本ではないかもしれません。
でも、より宇宙旅行が身近に感じるのではないでしょうか。

書店で見かけたら、ぜひ手を取って、できれば買ってあげてください(笑)

投稿者 KEN : 23:59 | 科学なグッズ大集合 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月14日

KiraKira-Club on June

さて、今日はキラキラクラブ 2 回目の例会。

PAONET の総会で、「子ども衛星アイデアコンテスト」を紹介してもらったり、
(昨年のキラキラクラブの例会ではこれに参加したそう)
東北大学スプライト観測衛星にちなんだ「宇宙に飛ばそうわたしの絵画」を見つけたので、
今回の例会のテーマは人工衛星にしました。
日本宇宙少年団の方に「人工衛星ハンドブック」なども送ってもらいました!

はじめに、簡単に人工衛星について学習。
人工衛星の種類や歴史、人工衛星が落ちてこない原理などを、
スライドと実演を織り交ぜて説明しました。

で、そのあとに、子どもたちに封筒に入った手紙を渡す。
中には、怪しげな(?)メッセージとともに、クイズ問題が。

実は、「人工衛星カード」なるものを作って、部屋のあちこちに隠しておいたのです。
クイズを解いて、その在り処を探してカードをゲットしてもらおうというゲームですね。
もちろん、クイズの内容はさっき学習したことを思い出せばわかるもの。
1 問だけ難しいクイズを入れておきましたが、それも「人工衛星ハンドブック」を読めばわかるような問題です。
全員カードをゲットすることができました!

実を言えば、
隠し場所にかなり苦労して、正解してもカードがない!ってなことになってしまったものもあるんですが(汗)
土壇場で準備するとダメですね。
いや、隠すのは土壇場じゃないといけないんですが、前もってシュミレーションできればよかった。
次回への反省です。

最後に、「宇宙に飛ばそうわたしの絵画」の作品をみんなで描いて終了。
絵は、描きおわらない子が多かったので、おうちで書いてきてもらうことになりました。
どんな作品がくるか、楽しみです。

次回、7 月の例会は星座をテーマにする予定。
今度はなにをしようかなぁ〜。

投稿者 KEN : 17:55 | 星の子たより | コメント (66) | トラックバック (54)

2008年6月8日

Does "KIBO" have hope?

6 月 1 日の記事でも取り上げましたが、
いま、星出宇宙飛行士たちによって、ISS の日本実験室「きぼう」の建設が進んでいます。

3 日にはスペースシャトル・ディスカバリーと ISS のとのドッキングが成功。
4 日には「きぼう」の取り付けに、5 日には起動・入室に成功しました。
今後、ロボットアームなどの取り付けを行う予定です。

また一歩完成に近づいた「きぼう」と ISS。
星出さんが入室した際に、「宇宙飛行士募集」の貼り紙をカメラに向かって見せていましたね。

とはいえ、これで安心できるわけではありません。

ISS への主要な交通手段であるスペースシャトルは、2010 年での引退が決まっています。
もちろん、ソユーズやプログレシブ輸送船はありますが、輸送力が落ちるのは目に見えています。

アメリカ自体、月探査・月面基地計画へと軸足を移しつつあり、
今後、ISS の運用に積極的にかかっていく姿勢は見せていません。

しかし、それこそ各国がお金をつぎ込んで作った ISS。
無駄にするわけにはいきません。
日本としても、今後、この「きぼう」をどういう風に利用して、どういう成果を出していくのか、
ヴィジョンが問われています。
簡単な無重力実験なら、飛行機の落下実験など、宇宙に行かなくてもできるようになった時代。
ISS だから、「きぼう」だからできる何かを、見つけなくてはいけません。

現在募集中の宇宙飛行士には、そのような将来性も必要になるでしょう。
言われたことだけをするのではなく、自分がやりたいことを宇宙でする、そういう宇宙飛行士に。

「きぼう」そのものに希望がなくならないように、これからも見守っていきたいと思います。

投稿者 KEN : 20:26 | 天文学最前線 | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月5日

91 steps

今日の観望会には、姫路特別支援学校・中等部の皆さんがいらっしゃいました。

名前からもわかるとおり、さまざまなしょう碍を持った生徒さんたちがいらっしゃったのですが・・・
今日は、つくづく星の子館(の観望会)が、「人」に優しくないなぁ・・・と実感しました。

いつぞや書いたかも知れませんが、
うちの基本的な観望会のスタイルは、
5階の「天文ルーム」で、その日の星空や観望する天体についてのお話を 10 分〜 15 分し、
(曇雨天のときはこれのみなので、もっと長く、クイズ大会などもしたりします)
その後、望遠鏡のある最上階観測室に移動するのですが、これが曲者なんです。

観測室は、階でいえば 10 階相当。
しかし、星の子館は 6 階(天文ルームの1つ上の階)までしかエレベーターがありません。
なので、通常は 5 階の天文ルームから観測室まで、延々階段を上ってもらうことになります。
その数、なんと 91 段!

たとえ、健康な方でも結構疲れます。
ましてや、高齢の方や小さい子どもたちには、もう途方もない数です。
(それでも、子どもたちは数を数えながら元気よく上ってきてくれるのでいいですが・・・)
それでも、まだ上れるうちはいいでしょう。
車椅子の方たちは、とてもじゃないですが上がれません。

今回は、本当にたまたま、車椅子の生徒さんは1人だったので、
先生方が担ぎ上げてなんとか上まで来られましたが、いつもそれができるとは限りません。

星を見る機会は、どんな人にも平等にあるべきです。
ましてや、星の子館のような公共機関ではなおのこと。
しかも、児童館ですよ?

設計段階で話が出なかったのでしょうか?
安藤忠雄設計とのことですが・・・まさか利便性よりもデザインを優先したってことじゃないといいのですが・・・。
せめて、天文ルームを 6 階にすることができなかったのか?
(ちなみに 6 階は読書ルーム。6 階である必要性は皆無でしょう。)

いまさらどうにかできる問題ではないだけに、悔しいですね・・・。

投稿者 KEN : 23:19 | 星の子たより | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年6月4日

additional resolution

今日、参議院本会議で博物館法改正法案が全会一致で可決されました。
ニュースにはほとんど出てきませんけど・・・(苦笑)

数年前から、科学館やプラネタリウムをはじめ、博物館業界では、
指定管理者制度の導入などで揺れに揺れています。
はたして、公共教育機関に指定管理者制度は見合うのか?
もちろん、すべてが悪いとは言いませんし、施設側が努力すべき点はまだまだありますが、
教育効果というのは数字ではなかなか表わせられないもの。
あまり適しているとは思えません。

今回の改正案には、以下のような附帯決議も同時に可決されています。
長いですけど全文載せますね。

**********
政府及び関係者は,本法の施行にあたり,次の事項について特段の配慮をすべきである。


 生涯学習の振興、社会教育の推進にあたっては、国民のニーズに応じた学習機会の提供と学習活動の支援に努めるとともに、各地域における学習ニーズの継続的な把握、多様な取組に係る情報の収集と提供など国民の自発的、主体的な学習が担保されるよう配慮すること。


 国民の生涯にわたる学習活動を支援し、学習需要の増加に応えていくため、公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性向上を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して適切な管理運営体制の構築を目指すこと。また、各地方公共団体での取組における地域間格差を解消し、円滑な運営を行うことができるよう様々な支援に努めること。


 生涯学習・社会教育に係る個人の学習成果が、学校、社会教育施設その他地域において行う教育活動として生かされるよう、各個人の学習活動と地域社会の教育活動との循環につながるような具体的な取組について支援に努めること。


 公民館、図書館及び博物館が自らの運営状況に対する評価を行い、その結果に基づいて運営の改善を図るに当たっては、評価の透明性、客観性を確保する観点から、可能な限り外部の視点を入れた評価となるよう、国が関係団体による評価指標作成等に対して支援する等、適切な措置を講じるとともに、その評価結果について公表するよう努めること。その際、公民館運営審議会、図書館協議会、博物館協議会等を通じて地域住民等の意見が反映されるよう十分配慮すること。


 博物館については、多様な博物館がそれぞれの特色を発揮しつつ、利用者の視点に立ったより一層のサービスの向上がはかられるよう、関係者の理解と協力を得ながら、登録制度の見直しに向けた検討を進めるとともに、広域かつ多岐にわたる連携協力を図り、国際的に遜色のない博物館活動を展開できるような環境の醸成に努めること。


 地域における教育力の向上のため、学校、家庭、地域等の関係者・関係機関の連携を推進し、各施設資料の相互利用や人材の相互活用などを図るとともに、多様な地域の課題等に応じた機能を持つネットワークの構築を推進すること。その際、学校、家庭、地域の連携を推進する上で重要な役割を果たすPTAについて、その活動や運営などの実態把握に努め、「学校支援地域本部事業」における連携が円滑に進むよう十分配慮すること。


 社会教育主事、司書及び学芸員については、多様化、高度化する国民の学習ニーズ等に十分対応できるよう、今後とも、それぞれの分野における専門的能力・知識等の習得について十分配慮すること。また、各資格取得者の能力が生涯学習・社会教育の分野において、最大限有効に活用されるよう、資格取得のための教育システムの改善、有資格者の雇用確保,労働環境の整備,研修機会の提供など、有資格者の活用方策について検討を進めること。


 社会教育の推進に当たっては、社会教育委員の制度等を積極的に活用・活性化するとともに、社会教育委員がその重要な職責と役割を十分に認識するような環境整備を図ること。
**********

指定管理者制度については、二にその弊害について考慮するよう指摘されています。
そうなってほしいものです。

自分が職員になった今としては、七も気になります。
指定管理者制度のせいもあって、博物館関係の正職員になる道は今まで以上に狭くなっています。
しかし、年限付きの非常勤職員では、地域や来館者とのネットワークも、経験の積み上げもしづらくなります。
もちろん、同じ場所に長い間いる弊害もありますが・・・。
博物館職員は専門職員ですから、それに見合う待遇を与えられるようになってほしいものです。

また、七にも書かれていますが、学芸員資格取得のためのシステムも改善する必要があるでしょう。
教育免許以上に、各大学等でその講義・実習の中身はバラバラです。
最近は、資格を取れることを売りにして、中身の伴わない授業を行っている大学もあるようです。
「博物館学芸員」という資格が、しっかりとその人の能力を保証するものであり、
かつ、社会で活用されるようなものにしなければいけません。

投稿者 KEN : 20:45 | - | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月2日

To-Ra-I-Ya-Ru

兵庫県の中学校では、
中学 2 年生で平日 5 日間、職場体験をする「トライやる」ウィークというのがあります。
なんでも、1995 年の阪神淡路大震災、1997 年の神戸連続児童殺傷事件を機に、
中学生に働く場を見せて学習させようとする趣旨で始まったそうです。
 #wikipediaのページ

受け入れ協力先は、
幼稚園や保育園、養護学校、図書館などの学校関連施設から、
市役所や警察署、消防署などの官公庁、
老人介護施設などの福祉施設や病院などの福祉施設、
生協や農協、漁協などの協同組合、
ガソリンスタンドや郵便局などのサービス業、
マックスバリュなどのスーパーやマクドナルドなどの飲食店、
個人経営の商店、
バス、鉄道、空港などの交通機関、
新聞社や放送局などのマスコミなどまで多岐にわたっています。
さらには、神社仏閣や農家、漫画家などもあるようです。

受け入れ協力先には「ウィーク受け入れ先」の幟やステッカーが貼ってあるので、
来ればすぐにわかると思います。
姫路はじめ、兵庫県民への浸透度は高くて、中学生を受け入れることがその施設への宣伝にもなっているようです。

他の都道府県にも似たようなものはあると思いますが、
トライやるの特徴は、

・活動場所は校区内に限らない。基本的に市町内だが、行動範囲が 100km を超えることもある。
・そのため、他校の中学生とも一緒に活動することが多い。
・この活動にかかる交通費や保険の掛け金は全額県が負担する。

といったところでしょうか。


というわけで、星の子館にも毎年、数人の中学生がやってきます。
数ある施設の中から「星の子館」を選んでくれるのはうれしいもの。
しかも今年は、天文に興味があるから、という理由で来てくれた子が4人もいました。
嬉しい限りです。

星の子館には、「管理」、「児童厚生」、「天文」の 3 部門がありますが、
そのすべてを体験してもらいます。
今日と明日、天文のお仕事をしてもらうのですが・・・天気が、ねぇ。
入梅宣言されちゃいましたよ。

普段は土日しかやらないお昼の公開を、この期間だけ、
中学生に入ってもらって平日でもやるのですが、晴れなきゃどうしようもありません。
まぁ、天気に左右される職場もあるんだよ、ってことで(苦笑)

なので、本日は、観望会の宣伝ポスターを作ってもらいました。
どうすれば、来館者に観望会の魅力を知ってもらえるか、
お客さんが来なければ何もできませんからね。
広報も大事な仕事の一つです。

明日の完成が楽しみですが、それ以上に晴れてほしいなぁ。。。

投稿者 KEN : 20:00 | 星の子たより | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年6月1日

Where is the ISS?

日本時間の今日午前 6 時 2 分、スペースシャトル・ディスカバリー(STS-124)が打ち上げられました。
これには日本人宇宙飛行士、星出彰彦さんが搭乗、
国際宇宙ステーション(ISS)へ日本の実験棟「きぼう」の中枢となる実験室を取り付ける作業を行います。
ISS には、3 月に同じく日本人宇宙飛行士の土井隆雄さんが「きぼう」の保管庫を取り付けていますが、
今回のフライトで実験室が取り付けられることによって、船内実験が可能となるのです。

ミッションについての詳しい情報はこちらをご覧ください。
(JAXA の「きぼう」日本実験棟の web ページ)

さて、今日は、それに関連しておもしろい web ページを紹介します。
その名も「GoogleSatTrack」。
Google Earth は有名なので皆さんご存知の方も多いと思いますが、
その Google Earth 上に ISS やスペースシャトル、
他の人工衛星の位置をリアルタイムで表示してくれるのです。

地図の倍率を上げれば、今どこを飛んでいるのか、まさに市町村単位でわかりますし、
かなりのスピードで地球を周回していることがわかります。
なんといっても 90 分で地球 1 周ですからね!

見てて飽きないので、結構、時間が経つのを忘れて見入ってしまいます。
スクリーンセーバーとかにできるといいんですけど(笑)

投稿者 KEN : 13:23 | 科学教材ライブラリ | コメント (0) | トラックバック (0)

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