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2008年11月26日

Youtube「科学文化形成ユニット」チャンネル

Youtubeにすばる望遠鏡のプロモーションムービーがアップロードされていました。



Youtubeにはハッブル宇宙望遠鏡やヨーロッパ南天天文台の公式チャンネルが既にありますが、今回のは国立天文台の科学文化形成ユニット公式チャンネルの動画リリース第1弾です。科学映像クリエータと科学プロデューサを養成する組織が研究機関にあるというのも考えてみると斬新ですが、天文学に触れる新しい形が出てくると面白いですね。星を眺めて楽しむのも講演会で研究成果を聞くのもいいですし、こういった形でリリースされる動画も面白い。研究者が行うアウトリーチや科学コミュニケーションもなくてはならないものですが、もっともっと社会に溶け込んで個人や企業という違った方向からのアプローチもあると、さらに幅が広がりますね。ユニットで養成されて起業した方々の成果も楽しみです。

投稿者 平松正顕 : 21:51 | hiramatsu log | コメント (2) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月23日

南の星

先日、夜中にぼーっと窓の外を見ていたら、向かいのマンション2棟の間に光る点がひとつありました。飛行機かな、と思ったのですが全然動かないので星らしい。視線を少し上にあげるとおおいぬ座。ん、これはひょっとして・・と思ってステラナビゲータを立ち上げて確認したら、カノープスでした。日本の大部分の地域からは南の水平線上に少ししか昇らず、その見難さから「見ると長生きできる」という言い伝えまでできるほどの星です。が、台湾では特に苦労なく見えました。南にいるんだなぁと実感。もちろん南半球には観測で何度も行ってるのでそっちで見たことはあったのですが、北半球でカノープス見たのは初めてかな。

さて先日、このブログで取り上げた太陽系外惑星直接撮像の話。これに続いてもう一つニュースが入ってきました。ヨーロッパ南天天文台(ESO)がチリに設置している望遠鏡VLTでの成果です。プレスリリースはこちら

惑星かもしれないものが写された中心の星は、がか座ベータ星。「がか」といっても画家ではなく画架です。キャンバスを載せる台、イーゼルともいいますね。とはいっても星の並びから画架なんて想像できない、典型的な近代星座のひとつです。

このベータ星、先日取り上げたフォーマルハウトと同じように、星のまわりを塵でできた環が取り巻いていることが知られていました。フォーマルハウトの場合はハッブルの画像を見ても環が見えますが、がか座ベータ星はほぼ真横から見ている状態なので、星の両側に円盤状のものが突き出している、というふうに見えます。今回研究チームは、先日の惑星直接撮影のニュースで発見されたのと同じように中心の星を隠すコロナグラフという技術を使って撮影された画像を解析し、怪しい「点」を見つけたわけです。もしこの点が本当にがか座ベータ星をまわっている惑星だとしたら、中心星と惑星までの距離は8天文単位(太陽地球間距離の8倍)。太陽系で言うと土星くらいの場所を回っていることになります。ハッブル宇宙望遠鏡で発見された惑星が100天文単位だったことを考えると非常に中心星に近いですね。

とはいえ、この研究チームもまだこれが惑星であると結論を出したわけではありません。解析途中で生じる偽の光点でないことは確認できているようですが、遠くの星や近くの星がベータ星とたまたま並んで見えているだけかもしれません。本当に惑星であるかどうかを確認するには、まだまだ観測と調査が必要です。

というところで南の星の話題に戻るのですが、がか座ベータ星も南の星なので、たとえばすばる望遠鏡などハワイにある望遠鏡からの観測は大変難しいと思います。空には昇っているのですが、高度が大変低いのです。高度が低いということは、地球の大気を斜めに横切って星を見ていることになるので、大気の揺らぎの影響を受けやすく精密観測が難しいというわけです。もちろん南半球にもいくつか望遠鏡がありますので、これらでの追加観測ということになるのでしょうね。

投稿者 平松正顕 : 18:01 | hiramatsu log | コメント (2) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月19日

サイエンスアゴラいろいろ

台湾(新竹市)も寒くなってきました。最高気温は18℃あったようですが、『風城』の異名を持つように新竹は風が強いので、もう少し寒く感じられます。

さて今週末、東京お台場では科学に関連する一大イベント「サイエンスアゴラ」が開催されます。世界天文年2009のキックオフシンポジウム(参加締切は明日!!)をはじめ、数多くの催しが企画されています。天プラでも2年前には「サイエンスグッズ・ワークショップ」を主催しましたが、今回は天プラとしての企画はありません。ここでは僕のところに情報が入ってくる(参加しているとまでは言えない)企画を3つご紹介します。



ワークショップ「動き出した2つの輪:『科学者コミュニケーション』の未来図」
日時: 11月22日(土) 13:00-14:10
会場: 日本科学未来館 7F 会議室1
内容: 0to1の活動の柱には「2つの輪」があります。科学者同士の輪、科学と社会の輪です。科学者が行うコミュニケーション活動とは?なぜ私たちは活動するのか? 0to1の活動の現場を紹介しつつ、来場の皆様と考えていきます。
登壇者: 小寺 千絵 氏(東京大学大学院 理学系研究科)、
音野 瑛俊 氏(東京大学大学院 理学系研究科)、
横山 広美 氏(東京大学大学院 理学系研究科 准教授)
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東大の理学系研究科の大学院生が中心となったグループ 0to1 (ゼロトゥーワン)企画のワークショップです。0to1は大学院生という立場で、研究者と研究者でない人の間のコミュニケーションについても研究者同士のコミュニケーションについても一緒に考えていこうという団体、だと僕は思っているのですが、今回は特に大学院生がそういったコミュニケーション活動にかかわっていく際の諸々について議論するワークショップです。詳しくは0to1メンバーsuikyoさんのブログを。トピックとしては大学院生に重点が置かれているので大学院生の皆さんに参加してほしいですが、もっというと指導する立場の教員の皆さんからの忌憚のないご意見もいただけるといいなぁとおもいます。直接の師弟関係にあるとなかなか言いづらい本音も、こういう場で引き出せたらより議論が深まるんじゃないでしょうか。


「横串フィールド」
日時:11月22日(土)-23日(日)
場所:東京国際交流館プラザ平成3階ホワイエの奥
内容:サイエンスアゴラ参加者のための「お休みどころ(フリースペース)」です。出展者やサイエンスコミュニケーション活動(サイエンスカフェなどで)に関係する方が交流する場(フィールド)としてご利用ください。 
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僕も一応名前だけは連ねてさせていただいている、サイエンスコミュニケーションネットワーク横串会による企画。企画といっても上記内容の通り、「場」です。サイエンスアゴラは全国からサイエンスコミュニケーションに関わる人が集まるわけですが、それぞれの企画に参加するだけじゃもったいない、自由にいろんな人と意見交換したい、という皆さんのための場。"アゴラ"の名前を地で行く企画です。


科学ライブショー『ユニバース』
日時: 11月24日(月・祝) 10:30-12:10
会場: 日本科学未来館 7F イノベーションホール
内容: 科学ライブショー「ユニバース」では最新の宇宙像を正確に再現したコンピュータシミュレーションとともに、第一線で活躍中の研究者が案内役となって天文学をはじめとする最新の科学の話題を解説します。
第1部 10:30-11:10(40分);第2部 11:20-12:10(50分)
登壇者: 半田 利弘 氏(東京大学)・学生集団「ちもんず」(Team Chimons)
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アゴラ皆勤賞、ユニバースです。今年も本家・科学技術館を飛び出して出張ユニバース。本家ユニバースでは平面スクリーン→立体視スクリーン→立体視ドームとハードウェアの進化がすすんできましたが、「本物の科学者が本物の科学を、来場者と対話しながら伝えていく」というスタイルは1996年の開始以来変わっていません。学部生のころからお手伝いをしていましたが、ユニバースは僕の科学コミュニケーションに対する意識の形成に大きく影響を与えた存在です。活動紹介のポスター展示もあるよ。

投稿者 平松正顕 : 22:03 | 科学コミュニケーション | コメント (2) | トラックバック (1) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月17日

観測提案:結果とその次

ハワイ出張中に提出したサブミリ波望遠鏡SMAの観測提案の審査結果が返ってきました。・・・残念ながら不採択。今回の倍率はおよそ2倍くらいだったようです。ただ「不採択」という結果が返ってくるだけじゃなくて、審査員からのコメントもちょっと遅れて届きました。ダメ出しされるのがわかっているのでなかなかメールを開く気も起きませんが、、勇気を持って開きます。内容をここに書くのは控えますが、確かにおっしゃる通り、というご指摘の数々。まあ観測提案最初から通る人はそんなにいないので、これを糧に次はいい提案ができるようにしないといけません。

そして次はオーストラリアの電波干渉計ATCA。正式な観測提案募集のお知らせが今日届いたのですが、観測装置の一部がアップグレード中のため、以前この望遠鏡に観測提案を出したときとはいくつか違う点が。観測提案を出す前には、無茶な提案をしないように、その望遠鏡のマニュアルとか観測ガイドとかに目を通しておかなくてはいけません。一方で同じ望遠鏡であっても観測装置がいつも同じとは限りません。ユーザーがよりよい成果を出せるように天文台側もいろいろな装置を改良し続けるからです。締切まであと1カ月弱。どんな観測を提案しようかな(あるいは次回に見送りかな)。

投稿者 平松正顕 : 23:43 | 研究生活@台湾 | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月15日

系外惑星ネタふたつ。

太陽系外惑星の直接撮像成功のニュースが二つも飛び込んできたので、それについて書いてみます。

2005年には、ヨーロッパの研究者によっておおかみ座GQ星 (GQ Lup b) の周囲に惑星候補天体が撮影された、ということがありました。発表当時は「初めての『太陽系外惑星』直接撮影」と話題になりましたが、論文や公式なリリースでは「惑星の可能性のある天体」となっていました。簡単に言うと惑星かどうかはその質量が木星の13倍以上か以下かどうかで分類されます。その質量より重いとその星の中で重水素が核融合反応を起こすので、もはや惑星とは言わないわけです。で、GQ Lup b のときは質量の見積もり方によってその限界質量を超えたり超えなかったり、というものでした。つまり「惑星の可能性もあるけどそうじゃない可能性もある」と。この件はこのブログでも結構精力的に取り上げました。2005.04.05 2005.04.11 あたり。

で、今回。一つはハッブル宇宙望遠鏡による成果で、秋の夜空唯一の一等星として有名なみなみのうお座のフォーマルハウトに惑星が一つ(上に貼った写真。NASAは著作権を主張しないのでこういうときに気軽に利用できます。)。もう一つは、ハワイの山の上にあるジェミニ望遠鏡による観測で、HD8799という番号しかついていない星の周りに一度に3個。いずれも、惑星と比べて明るすぎる中心の星の光を隠す「コロナグラフ」という手法が使われています。両方の画像の中心が抜けているのはそのせいです。ジェミニのほうは、こちらのページにその星の見つけ方が書かれてあります。ペガスス座の中のようですね。もちろん惑星は見えませんが、「あの星の周りに惑星がまわっているのかー」と思いを巡らしつつ秋の夜空を楽しむのもいいですね。

ハッブルによる成果は、2004年と2006年に撮影した同じ天体の画像で、光点が確かに動いていることが確認でしたので惑星であると結論したようです。ジェミニの方もこのページの一番下の写真で、2004年から2008年の間の動きが見てとれます。ある星の近くに光る点が写っていたとしても、遠くの星がたまたま近くに見えているだけかもしれませんし、あるいはそもそもノイズである可能性もあります。リリースされたハッブルの画像を見てみると、その光の点はわずかに10ピクセルほど。2006年の撮影から2年たって結果が発表されたわけですが、この10ピクセルが確かに天体であり、動いている惑星であることを確認するのにはそれだけの時間がかかるのです。プレスリリースの文章には、この観測計画自体は2001年から始まっていたと書かれてあります。以前のハッブルの観測から、フォーマルハウトのまわりに塵の円盤があることはわかっていました。この円盤が中心の星に対してちょっとずれていること、それからその円盤の内側のふちがシャープであることなどから、内側に惑星があるのだろうと言われていました。観測計画が始まって論文として世に出るまで、実に7年。忍耐です。(対して普通のポスドクの契約期間は2,3年。こまめに成果を出しつつ時間のかかるデカイ仕事をすることが求められますね。)

ハッブルの見つけた惑星、公転周期が872年だそうです。中心星からの距離は100天文単位くらい。地球と太陽の間の距離の100倍、太陽から海王星までの距離の3倍。遠いですね。これだけ中心の星から遠いところにどうやって惑星を作るのか、たぶん理論的にはまだ解明されていないんだと思います。新発見からまた次の疑問が出てくる、観測と理論が抜きつ抜かれつで前に進んでいくという良い例ですね。はっきり言ってキリがないですが、でも人類はそうやって自分の世界を広げてきたので。

投稿者 平松正顕 : 01:22 | 報道にコメント | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月13日

岡山県立児童会館の廃止は延期

プラネタリウムを擁する岡山県立児童会館について、県の財政再建プランで廃止の方針が示された、ということを以前このブログでも取り上げましたが、今日の山陽新聞の記事によると「とりあえず廃止は延期」ということになったようです。

岡山県立児童会館 廃止先送り 青空知事室で石井知事意向
 岡山県の石井正弘知事は12日、県財政構造改革プラン素案で本年度末での廃止方針を示していた県立児童会館(岡山市伊島町)について、廃止時期を先送りする考えを明らかにした。

 岡山市内で同日開かれた青空知事室で、出席者が同会館存続を求めたのに対し、知事は「1年くらいかけ、しっかり議論したい」と述べ、少なくとも来年度中は県立施設として存続させる意向を示した。

財政再建プラン全体に対するパブリックコメントが2204件、そのうち児童会館に関するものが1655件。廃止賛成の意見が含まれている可能性はありますが、少なくとも多くの人がこの問題に関心を寄せたことは事実でしょうね。そしてたぶん、意見のほとんどは廃止反対だったのだろうと思います。パブリックコメントは「意見を聞きました、というための単なる口実」と指摘されることもありますが、さすがに今回はそれを無視することはできなかったのでしょう。

もちろん岡山県の財政は厳しいままですし、児童会館の建物自体が老朽化しているという事実は変わりません。それでも「利用者の意見も大して聞かずに今年度末に廃止」という事態が避けられたのは良い方向だと思います。そしてむしろ大事なのはこれから。利用者も児童会館職員も県の職員も天文関係者も一緒になって、何ができるか何をすべきかしっかりした議論が必要ですね。

投稿者 平松正顕 : 21:30 | 科学コミュニケーション | コメント (1) | トラックバック (2) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月7日

天プラ@デザインフェスタ

明日から東京ビッグサイトで始まるデザイン・フェスタに、今回も天プラが出展します。今年の5月にも出展しましたが、今回は前回の反省を生かしてレイアウトや人選を工夫して臨みます。といっても僕は天プラコアに流れているメールを読んでるだけですが。

デザイン・フェスタなのでいろんなデザインが出展されるんだと思いますが、天プラが何をデザインしたかというと、天文学・科学の伝え方のデザイン、楽しみ方のデザイン、もっというと科学コミュニケーションのデザイン、でしょうか。もっといろんな科学/天文学の楽しみ方があっていいだろう、というのが天プラのスタンスですし、このデザフェスでまた新たなコラボレーションが生まれ、さらに新しい楽しみ方の提案ができるかもしれません。東京から離れてしまったのでそういう場に行けないのはちょっと残念。

天プラのブースは西ホール4Fの C+0969, 0970です。お時間のある方は是非。

投稿者 平松正顕 : 21:39 | 科学コミュニケーション | コメント (1) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月3日

GoogleTrends

先のエントリに学振の事書いたら「学振+結果+2008」とかで検索していらっしゃる方がたくさん。検索頻度を見ることができる Google Trends で見てみると。

Google Trends "学振"
年間2回のピークが見えますね。4月から上昇し始めるのは、5月ごろの締切に向けて学振書類の書き方のコツなんかを調べているのでしょう。対して10月ごろのピークは結果を探してですね。ふむ、面白い。

Google Trends "ノーベル賞"
これまた顕著な年1回のピーク。ここ数年に対して今年がダントツなのもよくわかります。英語にしても年1回のトレンドは変わりませんね。

Google Trends "天の川"
6月から8月にかけて、七夕や夏休みの天体観測に向けてでしょうか。

「科学コミュニケーション」や「サイエンスカフェ」といった単語では、検索回数が少なすぎてトレンドが表示されないようです。googleを使う人たちの間での認知度もまだまだ、ということでしょうかね。

投稿者 平松正顕 : 21:20 | hiramatsu log | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年11月2日

研究とそれ以外と

日本では学振研究員の採用結果が通知されているようです。ぼくは今年は出してないので直接は関係ないですが、いい知らせも残念な知らせもチラホラ。ご存じない方にちょっとだけ説明しておくと、学振研究員(日本学術振興会特別研究員)に採用されると大学院生のうちから給料と研究費がもらえるようになるという制度です。

東大理学系研究科の院生が中心となった0to1、僕も末席を汚しています(が、去年から活動を開始したグループなのでD3だった僕はほとんど名前だけの参加です)。その参加者というかかなり中心となって活動している人たちの中に、学振研究員に採用される人が少なくとも2人はいるようです。おめでとうございます。0to1内での議論を傍から見てるだけでも「デキる」のが伝わってくる人たちなので、採用されるのも納得がいきます。

0to1の中に限らず、学生が研究ではなくサイエンスコミュニケーション活動に時間を割く意義、というのがよく話題になります。もちろん、0to1に参加している人たちは多少の方向性の違いはあれどそこに意義があると思っているからこそそこに集っているわけですが、時間が奪われることを気にする周囲の目、あるいは自分の中での葛藤があることも事実でしょう。

0to1中心部から学振研究員に採用される人が出るということは、サイエンスコミュニケーション活動をしていても研究者候補生として認められるだけの研究力が培える、ということを示しているわけです。限られた時間で研究をしっかり進めてきたご本人たちの努力の賜物であるのは間違いないのですが、研究以外の事やったら研究がおろそかになる、というほど単純なものでもないということですね。現に、サイエンスコミュニケーション活動は研究自体のモチベーションを上げるのに効果的だという意見も0to1の中ではよく出てきますし、僕も実際そうだと思います。それがうまくいく時間の割き方は分野とか各自の研究のスタイルとかにもよるでしょうけど、意識して時間配分してれば研究自体をより充実させる方向に持って行ける、これは重要なことだと思います。研究以外のことに時間を使うことを嫌がる教員もいると聞きますが、もっと広い世界に目を向けて(社会との関係という視点も含めた)研究の進展を考えれば、むしろ研究以外の事にも時間を使ってこそ成果が最大になる可能性もあるでしょう。ちょっと過激な言い方をすると、研究100%で辿りつける最高点は実は局所的なピークかもしれなくて、もっと全体を俯瞰すると本当の最高点(成功?幸せ?)は別のところにあるかもしれない、そういうことです。すべての研究分野にこれが当てはまるかどうかはわかりませんが、少なくともそういうことは意識しておくべきで、それはサイエンスコミュニケーション活動を通して研究者が学んだり考えたりできる重要なことです。天プラに大学院生をたくさん勧誘したのは、将来研究者になる人たちに社会とのつながりを少しだけでも意識してもらいたかった、というのもあるのです。0to1や天プラでその活動を見聞きした層が研究者になっていけば、科学と社会との関係はもっと良くなる、そう思っています。

投稿者 平松正顕 : 15:44 | 科学コミュニケーション | コメント (1) | トラックバック (2) | このエントリーを含むはてなブックマーク

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