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2008年7月17日

サイエンスカフェ@ボストン

中度颱風KALMAEGIが接近中です。朝から雨が降っていますが、風はまだそれほどでもなく。最接近は明日の朝のようです。

台湾に来て3か月、だいぶ英語でのコミュニケーションにも慣れてきました。相手もネイティブじゃないので多少楽な環境ではあるのかもしれません。とはいえ聞き取り能力もまだまだなので、英語のポッドキャストを聞いています。いくつかiTunesのリストに入れているのですが、そのうちのひとつ、Slacker Astronomyで、ボストンでのサイエンスカフェについて紹介しているエントリーがありました。

ボストンでサイエンスカフェをやっている人のインタビューがメインですが、このポッドキャストの冒頭には、リスナーに向けてサイエンスカフェとは何ぞや?という紹介があります。超要約すると「たくさんの人が集まるところで、『私は科学者です、〜〜を専門にしてます。何か聞きたいことある?(ここは原文のまま)』といって始める、科学の一番カジュアルな方法」とのこと。これだけカジュアルにできるといいんですけどね。

インタビューでは、ボストンの放送局WGBHのBen Wieheさんが自身の開催するサイエンスカフェについて述べています。(余談ですがこの方、以前 WIRED VISIONに出たサイエンスカフェの記事にも登場してます。)彼は自分のアパートの向かいにあるバーでサイエンスカフェをやっているそうですが、
・始まる前にサイエンスカフェと関係ない人が30人ほどが飲んでいる。
・サイエンスカフェのためにやってきた人がもう30人くらい。
・突然テレビに3分間ほどのビデオを流し、最後に「科学者がいます」と案内を出す。
・会話のきっかけとなるトークを5分。以後適宜テーブルを回ってフリーディスカッション。
という形式だそうです(僕の聞き取りが間違ってたらごめんなさい)。「最初のトークについては人それぞれのやり方があるだろうけど、自分は5分と決めてる」とのこと。そしてメインのターゲットは「サイエンスカフェと関係なく飲んでる人たち」。彼のサイエンスカフェは新たな層を開拓して科学に興味がない人に科学を届けるのが目的だそうなので、そう言っているのでしょう。

日本でもサイエンスカフェはたくさん開催されてます。サイエンスカフェ・ポータルとか見るとそりゃあもういっぱいあるわけですが、たいていはそれを目的にして会場に来た人たちが相手だと思います。もちろん関心がある人と科学者が議論したり理解を深めたりというのは重要なのですが、ここで紹介されたような半分ゲリラ的なサイエンスカフェもやってみたいなぁと思うわけです。ゲリラ天体観測天の川急便では天文台の観望会には来ないような人たちに『宇宙との突然の出会い』をお届けしてきたわけですが、サイエンスカフェでもそういうのができると面白いだろうなと思います。面白いと同時に難しい試みでもあるのですが。なので、完全にゲリラ的ではなくBen Wieheさんの場合のように、参加者の半分くらいはサイエンスカフェのために来た人、にしておくのが良いのでしょうね。そうすれば、仮にもとからいた半分の人が全く興味を示さなくても、なんとかなりそうです。もっとも、Benさんは「誰でも何かしらの意見や考えは持ってるし、特別な知識を持ってる人もいる」と話しているので、興味を引き付けるような最初の3分なり5分なりのトークが重要、ということでしょうか。

ポッドキャストの冒頭には、「この手のイベントは誰かに許可を取らなくてはいけないものではない。誰でもできる。もし科学者の知り合いがいたら、あるいは自身が科学者なら、やってみるべき」とも言っています。周到に準備したサイエンスカフェもいいんですが、気楽に開催・参加できるサイエンスカフェももっとあっていいなぁと思うわけです。

投稿者 平松正顕 : 20:10 | サイエンスカフェ | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年7月7日

星と風のカフェ オープン

今日は七夕ですね。関東地方は悪天候のようですが、台湾・新竹市は今日も暑い日が続いています。

そんな今日、JR三鷹駅前に新しいカフェがオープンしました。その名も「星と風のカフェ」
三鷹市プレスリリースGoogle map)。障碍者支援NPOと三鷹市の連携によって誕生し、国立天文台や天プラもイベント企画やグッズ出展などで協力します。すでにATPや新規作成の天文絵はがきなどを天プラから提供しています。

もともとこの場所には障碍者支援NPOのアンテナショップ兼カフェがあったのですが、さらに魅力を高め多くの方に利用していただけるように、宇宙をテーマしたリニューアルが企画されたとのこと。国立天文台のおひざ元である三鷹市ならではの取り組みと言えるでしょうね。リニューアルには、武蔵野美術大学の学生さんたちが大活躍したと聞いています。今後、国立天文台も天プラも、ここを拠点にしたイベントを企画していくことになるんだろうと思います。サイエンスカフェの開催なんかにはちょうど良い大きさだと思うので、今後の展開に期待ですね。もちろん宇宙だけにこだわらず、いろんなコラボレーションが実現していくといいなと思います。サイエンスカフェでは開催場所を確保するのが一苦労ですから、貸サイエンスカフェ会場としても利用されるようになればいいなと思います。現時点でそういう企画の持ち込みの受け入れ態勢ができているかどうかはまだわかりませんが、そのうちにぜひ。

投稿者 平松正顕 : 19:28 | サイエンスカフェ | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年6月17日

恐竜あたまサロン

僕が幼いころから好きだったものといえば、宇宙と恐竜と車。たぶん僕だけじゃなく多くの子供たちも好きだと思います。恐竜の化石を求めて友達と幼稚園の園庭の片隅を一生懸命掘っていたという微笑ましい(!?)過去を持つ僕ですので、今でも恐竜というか古生物は好きだったりします。

そんなバックグラウンドを持ちながら故郷岡山のニュースサイトを見ていて見つけたのがカセキッサ。その名も「恐竜あたまサロン」。なかなか面白いネーミングです。曰く、

カセキッサは、街のあちこちに出没して、コーヒーのかわりに「化石」を楽しみながらいろんなお話をする場をつくろうというプロジェクトです。
とのこと。コーヒーの代わりに、ということはコーヒーは出ないのかな?サイエンスカフェとはちょっと違うかもしれませんが、街中で科学に触れるという意味では似た者同士。しかも恐竜の頭が目の前に。これは面白そうです。6月17日(火)から22日(日)まで、岡山市表町にて。ローカルな話題になりますが表町商店街といえば岡山一の繁華街。そのすぐ近くでこんなイベントが行われるのはなかなか面白い取り組みです。カセキッサのサイトにも書いてありますが、恐竜好きの子供だけでなく大人もきっと一緒に楽しめることでしょう。

これを主宰する林原自然科学博物館のチームは以前からモンゴルのゴビ砂漠で恐竜化石発掘を続けていました。数年前までは東京有明のパナソニックセンターで Dinosaur FACToryとして展示も行われていました(場所を引き継いだのがリスーピアかな?)。化学系の会社である林原グループが岡山駅前に持つ広大な土地を利用しての再開発計画に、この博物館建設が含まれています。再開発自体は不況の影響もあってか急激な進展はなさそうですが、計画が実現すれば駅前の超一等地に科学博物館が誕生することになるでしょう。実は、「プラネタリウムも併設しては?」なんて意見を何年か前に送ってみたのですが、、、なかなか難しいですかね。

カセキッサ、とりあえず今回の会期は今週いっぱいのようですが『街のあちこちに出没して』とあるということは、今後も場所を変えながら続いていくということでしょう。この林原の取り組み、応援したいと思います。

【2008.06.18追記】
山陽新聞のページに写真入りで記事が出てました。
こんな雰囲気なんですねぇ。頭が並ぶとやはり壮観です。

投稿者 平松正顕 : 23:14 | サイエンスカフェ | コメント (2) | トラックバック (1) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年5月15日

学生によるサイエンスカフェ

"SciencePortal担当です。"ブログに、『学生が話題提供者になるサイエンスカフェ』についての言及があって、"Science and Communication" ブログでも取り上げられています。私たち天プラはこれまでいろんなサイエンスカフェを学生主体でやってきたので、その経験を少しご紹介します。

天プラはそもそも設立当初から、学生とプラネタリウムの協働を目指していました。今ではプラネタリウムに限らず地域NPOや小学校などとも協力していろんな活動をやってます。これは、サイエンスカフェでもそれ以外の活動でも学生であることの利点を最大限活かせると考えたからです。

まず、若いこと。サイエンスカフェでは単なる講演会ではできないような気軽なディスカッションや質問ができることがキモですが、相手が偉い先生だとなかなか難しいもの。相手が学生なら、子供たちからすればお兄さんお姉さん的存在、20代(この年代を集めるのは難しいですが)からすれば同世代、それより上の年代の方にとってみれば弟妹・子供・孫といった世代の人間が話題提供者となることで、より話しやすい雰囲気を作れるのではないかと思っていますし、実際天プラでやったカフェでもそれは実現できたと思っています。結果として、天プラが目指す『多くの人が一緒に天文学で楽しむ場』を作る手段としてサイエンスカフェというスタイルを利用することができると。サイエンスカフェは目的ではなくて手段であるはずです。

そして、学生にとってもメリットは大きいこと。"SciencePortal担当です。"ブログにもあるように、自分の研究分野についてわかりやすく説明をするということは研究者になってからも必要なスキルです。これは一朝一夕にできるものではないと思うので、早いうちからちょっとずつ経験を積んで練習しておくことが重要なんだろうと思います。さらにこういう場所で普段接しない人たちと接することは、学生にとってみれば研究のモチベーションを向上させるという側面もあるかと思います。研究って結構孤独なもので、果てしなく広がる暗黒の宇宙に対してひとり戦いを挑んでいるような気持ちになることもあるのです。サイエンスカフェみたいな場で自分の研究に対して『面白い』とか『がんばって』とか言われると、なんだか応援してくれる仲間を見つけたような気がして研究にもより力が入る。天プラやその他のところで行わるサイエンスカフェに話題提供側として参加した学生の多くは、そんな体験をしています。これって、望ましい社会と科学の関係のひとつだと思うのです。

もちろん、『ゲスト:○×教授』というほうが集客力はあるかもしれません。そのサイエンスカフェが何を目指すのかによっても違ってくるかとは思いますが、ある程度常連さんのついたサイエンスカフェとか、そんなに集客しなくてもいい場では、学生を起用してみるというのも面白いと思います。そういう場に慣れていない学生が大多数だと思いますが、逆に『素の研究者』の姿を垣間見られるという意味でも面白いでしょう。

天プラはこれまで、2005年10月のサイエンスカフェ札幌第1回をはじめとして、調布飛行場や札幌や三鷹の小さなレストランやカフェなどで、学生を前面に押し出したサイエンスカフェを行ってきました。天プラ主催のものはネットに告知を打つほどでもない地域密着型の小さなものが多いので、サイエンスカフェ・ウォッチャーの皆様の目にとまらないのかもしれませんが、天プラ主催でなくても周辺では天塾サイエンスカフェや湘南国際村フェスティバルの総研大サイエンスカフェなど、学生が話題提供者となるサイエンスカフェは結構あります。天プラ周辺の学生はプラネタリウムや科学館などでのボランティアの経験がある人が多いですし、僕自身国立天文台の定例観望会で何年もお手伝いをしていたので、平均的な学生よりは対話に慣れているという面はあります。研究発表と違って気軽なディスカッションであればあるほど応対の力量が問われます。必ずしも提供した話題の範囲内で話が展開するとは限りませんし、全然専門外の分野に飛んでいくことのほうが多いはずです。なので、どこの学生を引っ張ってきても対応できるわけではないでしょう。でもそれってたぶん研究者でも同じ。

本当は、天プラのこういう活動について文章を残すなり論文書くなりすればいいんですが、なかなか研究も忙しいのでこれまであまり実現できていません。夏ごろ発行予定の蛋白質 核酸 酵素には、天プラの活動のある意味ではまとめ的な文章が掲載されますので、お楽しみに。それと、科学技術社会論/科学コミュニケーション/地域活性化/NPO活動 などの視点で、どなたか天プラの活動を研究していただけないでしょうか?この変な活動を思いもよらぬ角度からバッサバッサと切っておいしく料理していただける方、募集中です。

投稿者 平松正顕 : 15:59 | サイエンスカフェ | コメント (4) | トラックバック (2) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2007年9月19日

F1気象サイエンスカフェ

天文とは関係ないですが、面白そうなサイエンスカフェの情報が入ったのでお知らせします(残念ながら僕は行けなそうですが)。僕もF1好きでよく見てるんですが、下の案内にもあるように今年のヨーロッパGPでは、突然の雨によって同じコーナーで何台ものマシンが次々スピンしてえらいことになっていたのでした。天気予報が勝負を左右することもあるようです。

このサイエンスカフェで面白いのは、やはり異分野交流が期待されることでしょうか。F1ファンと気象ファン?はあまり接することが無いと思うのですが、こういうイベントをすることで双方の関心層にアピールすることができます。天プラでも調布飛行場とのコラボレーションでサイエンスカフェ&星空観望会を2回実施しましたが、あれも飛行機ファンと宇宙ファンという重なりそうで重ならないふたつの層に訴求力を持っていた企画だったと思います。

先日も東京学芸大学で日本語を専攻する学生さんと話す機会があったのですが、日本語の起源やら古語・文化と当時の宇宙観とのかかわりなど、なかなか天文の人間だけだとできないような話で盛り上がったのでした。普段意識しない世界にたまに目を向けてみるのは楽しいものです。


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【特別企画:気象サイエンスカフェ・東京

日時:2007年9月26日(水) 19:00〜(18:30開場)
場所:GOOD LUCK COFFEE 千駄ヶ谷店

 ■テーマ:  「TOYOTA F1 チームの気象予報士」 -ピットウォールの気象戦略って?-
 ■スピーカー:Claudia Dittmarさん
         (TOYOTA F1チーム 気象アドバイザー。Meteo Berlin 所属)
 ■言語:   英語またはドイツ語(通訳あり)
 ■参加費:  1,000円(このほかに1ドリンクのご注文をお願いします)
 ■申込み: お名前、参加人数をお知らせください。
     飛び入り参加も可能ですが、満員の場合はご参加をお断りすることがあります。

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月末に富士スピードウェイで開催される、Fomula1 日本GPに先立ちまして、F1レースにおける気象専門家をスピーカにお招きします。世界にたった11しかないF1チームのひとつ、TOYOTAの気象アドバイザーClaudia Dittmarさん。レース直前の貴重なタイミングでの登場です。

どんな資料を基に予報をするの?
レース中に降りだすやっかいな雨は、どんな影響があるの?
サーキットに水たまりができたらどうするの?
また、ウェザータイヤと晴れタイヤの使用のルールは?

など、普段知ることのできない世界の究極の気象予報について、みなさんとたくさん聞いてみたいと思います。

今年は、7月のヨーロッパGP(ドイツ・ニュルンブルクリンク)で、度々のウェットコンディションのために、22台のうち5台がスピンするという大混乱のレースとなりました。F1レーシングではトップスピードが時速350kmにもなります。当然雨天時の安全対策はとられますが、安定しない空模様のもとでのレースとなることもあるようです。ちなみに、時速350kmを秒速(風速)に直すと、約97m/sとなります。日本の突風の記録(最大瞬間風速91.0m/s、1966年9月25日 富士山)を上回る速さです。そんなスピード+豪雨。想像もできない状況での走行ですね。

今回の開催は、TOYOTAの方のご協力により実現いたしました。滅多にない機会です。ぜひご参加ください。

告知掲載HP:http://www.yoho.jp/katsudou/cafe/cafe.htm

主催:日本気象学会、日本気象予報士会 (共催)

投稿者 平松正顕 : 22:33 | サイエンスカフェ | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2007年4月6日

宇宙図サイエンスカフェ@東京日本橋

一家に1枚宇宙図完成でお知らせしたとおり、4/16-22は科学技術週間です。この科学技術週間中には、東京日本橋で毎日サイエンスカフェが開かれます。

思い起こせば1年前の科学技術週間では、天プラは倉敷の大原美術館でサイエンスカフェを開催したのでした。平松は国立天文台野辺山での観測が割り当てられていたので当日は参加できませんでしたが。このときは全国20箇所開催のうちのひとつを担当したわけですが、今年は満を持して(?)文科省"直轄"東京でのサイエンスカフェに登場です。

サイエンスカフェの案内にもありますように、今回の宇宙図関連の回は4/18と4/21です。18日は、今回の宇宙図でアートディレクションを担当された小阪淳さんをゲストに迎え、参加される皆さんと一緒に宇宙図を読み解きます。小阪さんは科学/宇宙にも関心が深く、今回の宇宙図作成の過程でも天文学者と宇宙膨張について激論を交わすなど、「アートディレクション」にとどまらない活躍ぶりでした。きっと面白いサイエンスカフェになることでしょう。21日は、アストロノミーパブ仕掛け人の縣さん(国立天文台)と、毎日新聞理系白書で有名な元村さんの対談です。18日とは違う視点で宇宙図を読み解いていくサイエンスカフェになるでしょう。各回とも予約制らしいので、お早めに。


科学技術週間中には、メガスターの特別上映もあるようです。そして、メガスターを見てアンケートに答えた方、あるいはサイエンスカフェに参加された方には、宇宙図に加えて「あすとろカルタ」のプレゼントもあります! いやはやこんなところで天プラのカルタが配られるなんて、天プラも大きくなったもんです・・・。 カルタのpdf版は天プラのページからダウンロードできますが、やはりしっかりした厚紙に印刷されたカルタが欲しいですよね。是非日本橋へ。(なにより自分でしっかりしたのが欲しい。)

宇宙図については、配布協力館のリストも公開されています。ぜひお近くの館へ出かけて、宇宙図をゲットしてください。

投稿者 平松正顕 : 22:58 | サイエンスカフェ | コメント (1) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2007年3月23日

1週間連続サイエンスカフェ SpaceMitaka

3月13日から18日まで、JR三鷹駅の目の前のギャラリー スペースみたか101 をお借りして、1週間連続サイエンスカフェ Space Mitaka を開催しました。日々の詳細は塚田日誌にありますのでそちらをご覧下さい。

サイエンスカフェというイベントはここ数年日本でも各地で盛んに行われるようになってきました。天プラが初めてサイエンスカフェをやったのは2005年北海道大学CoSTEPと共催したサイエンスカフェ札幌の初回でした。その後天プラでも、調布飛行場や大原美術館(岡山県倉敷市)など様々な場でサイエンスカフェに取り組んできました。サイエンスカフェそのもののコンセプトとしては科学の専門家と市民が対話する、というものだと平松は考えています。しかしこれらのイベントは、日時を決めて限定的に開催され、しかも場所によっては事前申し込み制だったりするため、ぶらりと立ち寄って気軽に科学を楽しむというスタイルの実現が困難な場合もありました。(札幌は駅前の書店で開催されていたので、そういう参加の仕方も可能でしたが。) というわけで天プラは、1週間という期間限定ではあっても毎日昼から夜までオープンしておくことで、そのハードルを下げようとしたわけです。

今回は天文学の話だけでなく、化学・物理・生物などいろいろな話題も盛り込んでいます。昨年11月の科学コミュニケーションの祭典『サイエンスアゴラ』でいっしょにサイエンスグッズ・ワークショップを企画した、国立科学博物館の科学コミュニケーター養成講座の卒業生の皆さん(針谷さん、河本さん、小村さん)や、NPO法人サイエンスステーションで活躍する竹沢くんなどをお呼びして、様々な科学の話を楽しむことができました。僕は竹沢くんのトークにご一緒したわけですが、これが面白かったのです。

遺伝情報を担うDNAは、ATGCの4種類の塩基の組み合わせでできているわけですが、化学者がこの4種に代わる物質をいろいろ合成してみても、ATGCほどうまく働く物質は未だに合成できないのだそうです。極めて有効に働く仕組みを自然が作り出した、ということですね。じゃあ地球外生物が遺伝情報をもしDNAと同じような構造で保持しているのなら、やっぱりATGCが使われているんじゃないか、という創造をすることもできます。もちろんDNAとはまったく別の構造で遺伝情報を持っているかも知れませんが。地球上の常識がどこまで宇宙に広げられるのか。そこにはどういう世界が広がっているのか。空の上に広がる世界に思いを馳せる手段は、何も天文学に限られるわけではないのです。こういう「異分野コミュニケーション」ができるのが、サイエンスカフェの醍醐味ですね。

と、中身はとても面白いものになったのですが、いかんせん準備期間がバタバタのうちに過ぎてしまったので、十分な宣伝ができなかったのがちょっと悔やまれます。これまでいただいた名刺を元に独自のプレスリリースも打ったのですが、直前になってしまったためになかなか記事に取り上げていただけるところまでは到達できませんでした。ほとんど毎日通ってくださるような方もいらっしゃって、「科学に触れる」という点に関しては、深みを増すことはできましたが、裾野を広げることが十分にはできなかったのが一番の反省点ですね。他にも色々足りないことが見えてきた今回の企画でしたが、今後の天プラの活動に活かすとともに、同様の企画を考えていらっしゃる皆さんにもうまくフィードバックできればと思います。これに限らず、天プラの様々な企画について、ウェブ上にでもきちんと文章でまとめなくちゃいけないなー、と思う今日この頃です。なかなか時間も取れないんですけどね。

投稿者 平松正顕 : 23:53 | サイエンスカフェ | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2007年2月8日

サイエンスカフェ本郷

さる2月3日(土)、東京大学本郷キャンパスで「第1回 高校生のためのサイエンスカフェ本郷」のお手伝いをしてきました。理学系研究科/理学部の主催で、東大がオフィシャルに開催する(たぶん)はじめてのサイエンスカフェでした。

参加した高校生は50人くらい。まず小柴ホールで若手研究者のキートークを聞きます。お話された大城さんはとても気さくな感じで、ご自身が研究者を目指したきっかけや今の研究の面白いところなどをお話されました。主題がDNA関連ということで、高校生物ではせいぜいメンデルの法則くらいまでしか習わなかった僕にとっては「未知の世界」でしたが、わかりやすいプレゼンで楽しめました。そんな僕を尻目にバシバシと鋭い質問を飛ばす高校生たち。感服です。

そのあと、10人くらいの小グループに分かれて、ケーキとコーヒーを片手にフリートークです。各テーブルに大学院生が二人ずつ入り、チューターを務めました。僕は医科学研究所で研究している生物化学専攻D2の女性と同じ班に入りました。キートークのテーマがDNAということで、生命関連の質問をしたくてうずうずしている高校生もようでしたので、たいへん心強いパートナーでした。高校生たちはお互いに初対面なのでどうしても最初は硬くなってしまいがちですが、それでも質問をどんどんぶつけてくれたので、フリートークに用意された1時間なんてすぐに過ぎてしまいました。

全般的には、高校生といろいろなことを話せたし、楽しんでもらえたのではないかと思います。なにより自分たちも楽しかったので。宇宙と生物という違うバックグラウンドを持ってひとつのテーマに向かったわけですが、お互いに新しい話ができて面白かったのです。地球外生命にも地球生命と同じようなDNAがあるかどうかとか、最初の生命はどう生まれたかとか、高校生は特に意識はしなくても「アストロバイオロジー」と呼ばれる分野に切り込む質問を出してくれました。まだ確立していない分野なので、ある程度の科学的知識に基づいていれば「何でも言える」という面白さもあります。いろんな考え方、いろんなアプローチの仕方がある、ということが高校生に伝わったならよかったと思います。

欲を言えば、高校生同士の会話をもう少し促せたらよかったかなぁとおもいます。高校生と我々チューターとの間の会話はそれなりにできたのですが、なかなかディスカッションというところまでは持っていくことができませんでした。高校生同士で話すことができたら、またいろいろと刺激を受けることもできたと思います。現状でも高校生たちは楽しんでくれたようなので、あれはあれでよかったのだと思いますが。これはどこのサイエンスカフェでも課題に挙げられていることですが、なかなか難しいですね。

投稿者 平松正顕 : 00:43 | サイエンスカフェ | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006年11月27日

サイエンスカフェ・ワークショップ

サイエンスアゴラ2006内にて開催されたサイエンスカフェ・ワークショップで、僭越ながらパネリストを務めさせていただきました。そもそもパネルディスカッションって言うものを数回しか体験したことがない上に、往々にして議論が発散していくという印象しかなかったので、けっこう緊張してしまいました。

パネルディスカッションの前には、たくさんのサイエンスカフェ主催団体がポスター展示しているところに混じって天プラのポスターも出展してきました。天プラではいろんなところでサイエンスカフェをやってきました
ので、その報告です。ちなみに掲示したポスターはこちら。こうして振り返ってみてみると、天プラサイエンスカフェの変遷(進化)と、これまでに培ってきたノウハウが再確認できました。ポスター前ではいろんな方から質問をいただいたのですが、「場所はどうしてるの?」「お金はどうしてるの?」「広報はどうしてるの?」という3点に集約できる気がしました。天プラのカフェの特徴は定期開催していない一発イベントである、ということなのでちょっと特殊なのかもしれませんが、答えられる範囲でお答えしました。

お金に関しては、天プラのサイエンスカフェにはほとんどかかっていない、というのが実態です。イベント(貸切)中の営業補填となるとそれなりにお金がかかるのでしょうが、例えば既に2回開催した調布飛行場プロペラカフェでのプロペラ星空観望会では、会場は貸切で使わせてもらいましたが、プロペラカフェのイベントとして共同での開催にもっていくことで、お互いにサイエンスカフェの開催から利益が上がるようにしています。毎度毎度お金をかけて会場を借りるのは大変ですから、できれば共催の形をとるのが良いのでしょうね。うまく先方に理解してもらえば、場所とお金の問題は解決です。

広報は、天プラの場合は市報とか地元ケーブルテレビとか、地域密着メディアを使っています。新聞の折込に入っているコミュニティ紙みたいなのでもいいですね。全国紙の科学面とかに載っても来場者募集という意味ではそんなに効果は大きくないですから、全国紙でも地域面のような場所に載せてもらえると、実際に来る可能性のある方々へのアピールは大きいでしょう。天プラでは、ATPの取材などでの人脈をフル活用して、独自にプレスリリースを打つこともあります。

パネルディスカッションでは、カフェの店長をされている方(なんと平松さんという方でした!)がいらっしゃったおかげで、場所を提供する側からのコメントが多くいただけて興味深かったですね。事例報告があった東北大や京都の井戸端サイエンス工房の発表を見ても、全国各地でいろんな形のサイエンスカフェがあるんだなぁと言う思いを改めて強く持ちました。東北大は地元新聞で毎回サイエンスカフェの特集記事が組まれているとのことで、大きな組織だからこそできる強い協力関係だなぁと思います。そういうのに比べると天プラはゲリラ的な小規模開催ですが、またこれはこれで楽しいものです。時間ができたら(果たしていつになるやら)、天プラのウェブサイト内にこれまでのサイエンスカフェ情報をまとめたページを作りたいと思いますので、ご期待ください。

投稿者 平松正顕 : 18:30 | サイエンスカフェ | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

2006年8月1日

"Café Scientifique" と『サイエンスカフェ』

5号館のつぶやきさんが書かれた "専門誌Cellに載ったサイエンスカフェ評論" のエントリーと元の記事 "Café Scientifique―Déjà Vu"を読んでみたので感想を。


イギリスで誕生した"Cafe Scientifique"は『科学者と一般参加者が議論を交わすもの』です。これはもともとフランスで行われていたという "Cafe Philosophique;哲学カフェ"からの流れを受けてのものでしょう。参加者は個々人の哲学観/倫理観などに基づき、他の参加者と議論を戦わせるわけです。これを科学の世界にもってきて、参加者が個人の意見をもとに科学に関する話題で議論するのが 本家 Cafe Scientifique といったところでしょうか。

一方、日本で多く行われているのは、研究者が出てきて科学の話を噛み砕いて伝え、質問しやすい雰囲気の中、科学の話題で時を過ごす、といったタイプのサイエンスカフェです。5号館のつぶやきさんのおっしゃるところの『科学の宣伝のためのカフェ』ですね。先日日本学術会議とJSTが企画し、天プラも協力して倉敷でも開催した全国一斉サイエンスカフェは、そのようなものが多かったようです。

そんなのは"Cafe Scientifique"じゃない、という意見もあります。それでは単なる講演会だと。

そもそも天文学を含む基礎科学の場合、そのような場で議論を期待することは大変難しいことです。議論のためにある程度の量の知識が必要であること、BSEや遺伝子組み換え、原子力などのような日常生活へのインパクトがほとんどないために論点を見つけにくいこと、が原因でしょう。元の記事では、"anyone can meet to discuss the latest ideas of science that are impacting society." 『誰もが、生活に影響のある科学の最先端の話題について議論できる』とあります。つまり、「身近でない基礎科学」では、議論を誘うテーマを見出すことがとても困難です。『望遠鏡なんぞに血税を投入するのは是か非か』という議論は成立するかもしれませんが、そんな頭の痛くなるような議論の後に得られるものと、これまでの天文学が明らかにしてきた激動の宇宙の解説を聞きながら楽しむことで得られるものと、どちらが本質に近く、多くの方に参加してもらえるでしょうか。

『科学の宣伝のためのカフェは、趣旨と違う』とか『科学って面白いねーな仲良しコミュニケーションは"科学コミュニケーション"ではない』とかいう意見も一部にはありますが、サイエンスカフェも科学コミュニケーションももっと大きな枠組みで捉えるとよいのではないかと最近思っています。天プラも、これまで参加者150人超のサイエンスカフェ札幌から3家族6,7人と一緒に三鷹でやったものまで、大小様々のサイエンスカフェをやってきました。それを通して感じたことは、科学に触れる機会の提供がとても歓迎されることで、興味を持ってくださる方がとてもたくさんいらっしゃる、ということです。壇上の偉い先生のお話を拝聴する講演会ではなく、同じテーブルを囲んで科学の話をする、素朴な質問をぶつける、そういう場としてのサイエンスカフェの存在意義をしっかりと感じたのです。だから、全国一斉開催だろうがトップダウンだろうが、科学に親しむ場としてのサイエンスカフェがあってもいいじゃないか、と僕は思うわけです。天プラ、そもそもの設立趣旨は「最新の天文学をより身近に楽しむ機会の提供」だったわけです。我々が行ってきたサイエンスカフェは、まさにその狙いを実現するものです。

要は、『サイエンスカフェ』は"Cafe Scientifique"の輸入直訳版ではなく、日本風にアレンジしたものである、と。もちろん本家と同じような議論を中心としたものを推進する方はそれでかまわないですし、新たな知の伝達の場としてサイエンスカフェという形式を利用するというのもひとつの手でしょう。政策決定の一助となろうと個人的知的好奇心の充足に充てようとどちらでもよくて、科学に触れること、それがよく言われる「科学を文化に」ということにつながるのだと思います。

投稿者 平松正顕 : 23:51 | サイエンスカフェ | コメント (1) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク