2005年6月9日

超新星と惑星形成

久しぶりにコメントしてみましょう。
朝日新聞の『鮮やか、星の残骸 ハッブル宇宙望遠鏡とらえる』 の記事。


『ここから10〜15光年ほど離れた場所には星々の誕生の現場がある。同研究所は「数百万年後には超新星爆発のガスやちりが到達し、惑星が生まれるきっかけになる可能性がある」と説明している。』


これだけ読むと超新星爆発で放出されたチリやガスがそのまま惑星になりそうですが、そうではないです。ハッブル宇宙望遠鏡のプレスリリースには新聞報道と同じ意味のことが書かれてありますが。

超新星爆発で放出されたガスやチリが周囲のガスを圧縮して、その結果として星形成が誘発されることはあります。そうしてできる星の中には、惑星を持つものもあることでしょう。超新星爆発と惑星形成には、このようにいくつかのステップを経た間接的な関連しかありません。超新星爆発の影響で直接惑星ができるわけではないのです。

これは、もとのプレスリリースが誤解を招く、飛躍しすぎな文章になっている気がします。書いた人は頭の中でいくつかのステップを踏んでいるのでしょうが、文章を読むだけではそれが読み取れません。僕も講演会や観望会で話したり文章を書いたりする機会がありますが、『暗黙の了解』が存在しないところがこういう活動の難しいところですね。

そうそう、今度、小平市の公民館で夜間講座<宇宙を探る>の講師をやらせていただきます。内容は星形成一般と観測の実際をチリ渡航の様子も含めてお話する予定です。

投稿者 平松正顕 : 01:32 | 報道にコメント

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