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2006年8月16日

惑星の定義

【注:以下の記述は定義"案"についてのものです。決定した定義についての文章は8月25日の項で。 この事柄についてのカテゴリーを作りました。→惑星の定義について

国立天文台アストロトピックスで、惑星の新しい定義の原案が流れてきました。私は今プラハにいてIAUの国際研究会にでていますが、IAUの正式な会員ではないので、昨日の総会にはでていません。なのでこういう形で案を知ることになりました。まだあくまで原案だそうなので、最終的にこのとおりになるかどうかはあと1週間ほど先の総会での採択を待つ必要があります。以下、プラハでIAU総会に参加している"一天文学者の卵"としての見解です。

簡単に言えば、丸くて恒星の周りを回っているものを惑星と呼ぶ、というごくシンプルな定義なので、これが採択されれば、これまで広く認識されていた「太陽系の姿」が大きく変わりそうですね。大きな点は

・1801年に発見された小惑星第1番セレスが惑星に昇格。
・冥王星は惑星の座を防衛。そしてこれまで「冥王星の衛星」であったカロンも惑星に昇格。
・近年見つかっている冥王星より外側で大きな天体も惑星に昇格。
・今後も惑星は増える。

でしょうか。冥王星やその外側が惑星と認められるかどうかは気にかかっていましたが、まさかセレスまでこの問題が及ぶとは予想外でした。あと画期的なのは4番目、今後も惑星が増える可能性が十分にあるということですね。例えば50年後に惑星の数は何個になっているのか、想像もつきません。「学校で『水金地火木土天海冥』と覚えたのは無駄だったじゃないか」というコメントが登場することが十分に予想されますが、科学はそんなに単純なものじゃないということを示すよい例かもしれません。宇宙の中でもとくにご近所である太陽系の姿さえ、まだまだ解明途中である、ということ、つまり現在進行形の科学を伝えるよい材料になるでしょう。惑星の名前の羅列だけ覚えたって意味は無くて、どういうモノがどういう風に私たちの周りに存在しているのか、ということをきちんと捉えることが重要だということを、上記コメントが出る前にここで意思表示しておきます。「覚える」じゃなくて「捉える」です。

さらに、惑星かどうかは天文学的には重要ではないのです。冥王星が惑星の座を失ったとしても興味深い観測対象であることには変わりありませんし、今回惑星に昇格する可能性が出てきたセレスやカロンや2003UB313が突然研究すべき天体になるわけでもありません。惑星の分類はあくまでも便宜上、なのです。

最終的な惑星の定義が採択されたら、もういちどここに書きたいと思います。さて、会場に行かなきゃ。

投稿者 平松正顕 : 16:21 | 惑星の定義について

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コメント

はじめまして。突然のコメント。失礼しました。

投稿者 グッチ 店舗 : 2012年11月10日 06:36

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