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2007年8月31日

宇宙図Newton出版!

以前このブログでも報告したとおり、文部科学省の2007年科学技術週間に際して、天プラでは『一家に1枚宇宙図』の製作をお手伝いしました。人間と宇宙のかかわりをぎゅっと濃縮した1枚に、いろんなところから好評をいただきました。

もちろん、難しすぎる、などの不評もいただいていました。それはある程度こちらも覚悟していたことでした。一般的なポスターとしては異例とも言える文字の多さによって「読むポスター」となっており、そして内容もできるかぎり妥協なく、天文学が明らかにしてきた宇宙の真実の姿をお伝えしようとしたために、「パッと見てすぐわかる」たぐいのポスターにはなっていません。宇宙図が出た当初から、「きれいな天体写真をもっと前面に押し出して、文字は少なくしたほうが・・・」という反響をいただいていました。飾ってぼんやり眺めるにはそれがいいのかもしれないですが、私たちは一時の楽しみで終わるものではなく、時間がかかってもじっくりいろんな面から楽しめるポスターを作りたかったのです。

とはいえ、やはりこれだけの分量を一枚のポスターに詰め込むのはなかなか困難な作業で、盛り込みたいけれどもスペースの都合から泣く泣く割愛した部分も少なくありません。「これ、漏れてしまった内容は後から書籍で補完したいねぇ。」というのは製作段階から出ていた意見でした。

というわけで、理解に時間のかかる宇宙図本体(ラッパあるいはすり鉢形としずく形部分)を順を追って理解できるように解説し、割愛した部分を復活させ、宇宙図では小さくしか載せられなかった様々な天体写真たちをより迫力ある姿でご紹介する、という方向で、今回の『ニュートン別冊 時間と空間を軸にえがいた 新宇宙図』ができたわけです。執筆陣は、宇宙図の文章のベースを作成した大学院生とデザイナーの小阪淳さん、監修もいろいろな分野の研究者さんたちが引き受けてくださって、『宇宙図』の名のとおり「宇宙を空間的・時間的に俯瞰する」には絶好の一冊になっていると思います。宇宙図をお持ちの方は宇宙図と見比べながら、宇宙図をお持ちでない方はこの機会に入手なさって、お楽しみくださいませ。

ちなみに平松の担当部分は、星の一生から始まる後半部分の一部です。宇宙図の文章が元になっているとはいえNewtonの方が文字数多いので情報を追加せねばならず、なかなか大変でした。宇宙図製作のときは、誤解無く真実を曲げないようにとかなり神経を集中させて文章をダイエットさせたので、それを膨らませるのが難しかったのです。宇宙図の文章でよくわからなかったことも、このNewtonを読めば繋がりが理解できることと思います。ぜひ。

投稿者 平松正顕 : 23:44 | hiramatsu log | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2007_8_31_115.html

2007年8月24日

Google Earth → Universe !?

いろんなところでもニュースになっているように、Google Earth がバージョンアップして"SKY"という機能が加わり、天体情報も表示できるようになったとのことなので、早速ダウンロードしてちょっと見てみました。

いやー、これはなかなか面白いです。ブログに貼ったのは、Google Earth で見た銀河中心方向、夏の天の川周辺です。いろいろな天体が最初から登録されているので、すぐに色々な天体にズームインしていくことが可能です。全天の写真は、DSS (Digitized Sky Survey)が元になっているようです。アメリカのパロマー山天文台とオーストラリアのUKシュミット望遠鏡で撮影された、南北両半球からみた全天写真(をデジタルスキャンしたもの)です。個人がこうやってすぐにDSSの画像を机上で見られるようになるなんて、これを撮影したご本人たちは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

様々な「ぼやっとした」天体のカタログであるNGCに登録されている天体もプロットされています。青い点で表現されていますが、ざっとみるとこの青い点がひとつの筋になっていることがわかります。天の川ですね。NGC天体にはいろいろな種類の天体が含まれますが、銀河系内にある、星が生まれている場所も多く含まれます。生まれたての明るい星が、周囲のガスや塵を照らして光らせるために星雲となって見えるのです。銀河系を中から見たのが天の川ですから、これら星の生まれるところが銀河の中に散らばっているということは即ち、地球から見ると天の川にそって分布している、ということです。NGC天体には私たちの居る銀河とは別の銀河も含まれているので、これは天の川とは関係なく全天に分布します。でも、集まっているところもあります。かみのけ座とかおとめ座のあたりをズームアップしてくと見えてきます。名前もそのまま「銀河団」という、銀河の集団です。宇宙の中には銀河の集団がたくさんあるわけです。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像もところどころに挿入されています。これをみると、いかに望遠鏡というものが空の一部分を強拡大して見せているか、というのがよくわかります。あと、どこに天文学的に面白い天体が分布しているか。もちろんGoogleEarth上に載っているのは選ばれた一部の画像であるので、もっともっと全天に面白い天体があるわけですが、それにしても 銀河中心、オリオン大星雲、おとめ座〜かみのけ座の銀河団、かじき座周辺の大マゼラン雲などはハッブルマークの集中がよく目立ちます。

とまぁ、これだけあれば小一時間の天文講座はすぐにできちゃうでしょう。ネット回線さえあれば。そしてもっと時間があれば、いろんな天体位置を登録して世界中に配ることもできると思うのです、これまでのGoogleEarthでいろんな地点を登録できるように。こういうことってニュースになっているうちにすばやくやってしまうことも結構重要なんだと思いますが、だれか『すばる望遠鏡撮影プレスリリース画像一覧』とか『生まれたての星一覧』とかやりませんかね。アンテナを張っておいて、敏感に反応して即座に対応する、という能力は科学コミュニケーションをやっていく上でも重要だと思います。博士課程最終学年の忙しい時期じゃなきゃやるんですけど、さすがにいまはちょっと・・・。

気になったこととしては、ところどころにGoogle"Earth"に登録されている地球上の地点名がでてしまっていることと、天の南極北極のあたりの天体写真の解像度が極めて悪いことでしょうか。とくに後者のせいで、北極星は見えません。これはちょっと残念です。

天文学の研究者が使うSkyviewというNASAが管理するウェブサイトがありますが、ここでは指定した領域の指定した波長での宇宙の画像を見ることができます。主には天文学者用なので、領域の指定は数字(座標)で行うわけですが、これをもっとグラフィカルなインターフェースに変えれば、Google Earth にも統合できるんじゃないでしょうか。拡張版として、ぜひ全天赤外線図とか全天電波図とか全天エックス線図なんかも見てみたいところです。赤外線の「宇宙地図」としては、欧米のIRAS衛星による観測成果があり、日本の衛星「あかり」もIRASの数倍良い解像度の宇宙地図を今まさに撮影している途中です。波長によって全然見え方の違う宇宙の姿が、クリックひとつで見られるようになると面白そうです。人間の目が見ることのできる世界がいかに狭い範囲のものか、というのも直感的に感じられます。

もっと拡張して、ひょっとしてグーグルは Google Universe を作りたいのではないでしょうか。Universe は宇宙という意味ですが、もっと適切には『森羅万象』とでもいいましょうか。昨年の文部科学省『一家に一枚』ポスターであるゲノムマップを取り込めば、Google Gene とかできそうです。様々な図鑑を取り込んで、 生息域にあわせてGoogle Animals とか Google Fish とか。ありとあらゆる情報をコンピュータ上で。ものすごい世の中になりそうです。


そういえば、一年前の8月24日はプラハで開催された国際天文学連合の総会で惑星の定義が決まった日でした。あのニュースで普段天文に興味のない多くの方も「そこにある宇宙」を認識したことと思われます。多くの方にとっては記憶の彼方でしょうが、どれくらいの人の頭の中に「宇宙」が残っているでしょうか。今回のGoogleEarthのニュースで、また少し宇宙のことをぼんやりとでも考えて楽しむ方が増えたら嬉しいなと思います。

投稿者 平松正顕 : 00:28 | hiramatsu log | コメント (3) | トラックバック (1) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2007_8_24_114.html

2007年8月13日

問題と答え

写真は、先週滞在していた国立天文台野辺山の太陽電波観測所電波ヘリオグラフです。直径80cmのパラボラがT字型に84台ならんでいるのですが、これはそのT字の交差部分から北側を撮ったものです。みんなそろって太陽の方を向いていてなかなか面白い写真になりました。
(本文にはあまり関係ないですが、文章ばかりで読む気が失せる感じだったので追加してみました。。)

H18年度科学技術振興調整費「効果的な理解増進事業の実施のための手法開発に関する調査」成果報告
K_Tachibanaさんの Science Communication blog で見つけた資料、いつか読もうと思って備忘録代わりに。といってもなかなか読む時間なんて取れないんだろうケド。いくつかの事例を取り上げて、効果的な手法とか簡単なチェックポイントとかまとめてあるっぽいです。(しかし、報告書が章ごとに分割されてpdfにされているのはちょっと読みにくいですね。一括ダウンロードがあればいいんですが。)マニュアル化することには強く反対なさる方もいらっしゃいますが、ひとつのガイドラインとしては有用なんじゃないでしょうか。もちろん他所でうまくいったことが自分のところでうまくいくかどうかはわかりませんから、各自アレンジが求められるのでしょう。

天プラの活動もいろんな面から評価を必要としていると思うのですが、なかなか自分たちではまとめる時間もなくその手法もわからないものです。天プラつながりで知り合いになったある方が調査対象として選んでくださっているので、それを待ちたいと思います。

また、現状のサイエンスカフェなどが抱える問題点として「来場者の固定化」が挙げられています。熱心な方は毎回いらっしゃって、そんな常連さんも増えてきて、新しい方が入る余地がなくなる、というわけです。確かに、定員の決まったイベントなどでは悩みどころになってしまいそうです。ただ、科学を核にコミュニティができるというのはこれまであまり無かったかもしれないとても貴重な機会ですので、なんとか共存を図りたいものです。もう少しハイレベル・コミュニティが力をつけて、自分たちでイベント開いて科学者を引っ張ってきて話を聞くとか、そういうところまで育っていったら凄いと思うんですけど、そこまでいくにはもう少し時間が必要でしょうかね。いずれにしても、ハイレベル層向けも充実させて、もっと多様な科学イベントが様々な層をターゲットに展開されれば事情は変わってくるでしょう。あとは、昨今の『科学コミュニケーションバブル』到来前から地道に活動されてきたグループも全国にたくさんあるわけで、そのあたりのノウハウの共有だとか、新興勢力との協働なんかもこれからですね。


独法改革 不要な事業の廃止を断行せよ
ご存知のように僕が普段研究生活を送っている国立天文台も、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 の一組織なわけですが、その組織が真に不可欠かどうかを判断する基準として上げられた「廃止が国民生活・社会経済に著しい悪影響を及ぼすか」に対して、天文台にいる人間はどう答えることができるでしょうか。とりあえず国立天文台が出している暦要綱がなくなると春分秋分の日が決められなくなるわけですが、もちろんもっと本質的な部分で。僕はまだ多くの人を説得できるような答えは持っていません。緑資源機構と同じ基準がすぐさま研究機関に適用されるとは思いませんが、答えは用意しておかなければいけないだろう、と思った社説でした。

投稿者 平松正顕 : 23:49 | hiramatsu log | コメント (2) | トラックバック (1) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2007_8_13_113.html

2007年8月5日

ALMA movies

先のエントリに引き続き、ALMAの話題をふたつ。

ひとつは、ALMAのアンテナを載せて運ぶための台車が完成した、というニュース。イギリスの放送局BBCのウェブページに、ニュースとして載っています。
Giant truck set for sky-high task 
写真のすぐ下の "watch" と書かれてあるところから、動画を見ることができます。
ヨーロッパ南天天文台ESOの作ったムービーはこちら。ちょっとサイズがでかいですが。

ALMAは、高精度パラボラアンテナを合計80台並べてひとつの巨大な望遠鏡として使う電波天文台ですが、そのアンテナを移動させることで、ズームレンズのように、天体の細かい構造を詳細に描き出したり、あるいはより広い範囲に広がった天体を観測したりすることができます。ここでアンテナを移動させるときに使うのが、上のニュースにある巨大なトラック、というわけです。コの字型の間にアンテナを入れて、ヨイショっと少し持ち上げて運ぶのだそうです。

もうひとつは、アメリカ製作担当分のALMAアンテナが現地に到着したときの動画。Youtubeにありました(音が出ます)。

オフィシャルにアップロードされたものかどうかはわかりませんが、なかなかかっこよい出来です。(NRAO:アメリカ国立電波天文台のページにあるそうなのですが、見つけられなかったので、こちらで。。) 何かのロボットアニメのような雰囲気を醸し出しています。ちゃんと国立天文台のロゴも入ってます。そして最後の一言。

"Coming soon to a Chilean plateau for you"

"for you" ってところがいいですね。得られた成果は人類全体の資産になります。

以前このブログでも紹介したように、日本もALMAの建設記録を映像に残しています。こちらも続編が作られていますので、ご覧下さい。

日本とアメリカからのアンテナが届き、それを輸送するトラックも完成し、現地の組立工場や観測施設の建設も進んでいます。次第に姿を現し始めた次世代電波天文台が完成するのは2012年。楽しみです。

投稿者 平松正顕 : 20:46 | hiramatsu log | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - http://www.tenpla.net/cgi/hlog/archives/2007_8_5_112.html

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