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2008年1月31日

ジェミニからイギリス撤退

12月30日のエントリに書きましたが、イギリスSTFCがジェミニ天文台から撤退するという話ですが、急展開を見せているようです。

Astronomy Blogに詳しく書いてありますが、結果的に

  • イギリス『ジェミニ南望遠鏡から2008年に撤退、北望遠鏡から2012年に撤退』と提案。
  • ジェミニ天文台はこれを拒否、2007年12月12日にイギリスは撤退したとみなす。
  • イギリスは違約金として2年分の分担金700万ポンドを支払う。
  • イギリスに割り当てられていた観測時間は2008年2月1日以降すべてキャンセル。
    とのこと。そのほかの細かい議決事項も書いてあります。ここまできてしまったら、もう状況はよい方には向かわないのかもしれません。

    何よりも2月以降に観測を割り当てられていたイギリスの天文学者が受けるショックは大きいでしょう。Astronomy Blogにも言及がありますが、割り当てられていた観測で博士論文を書こうとしていた大学院生もいるでしょうし、同じ博士課程の学生としてはなんともやりきれない思いです。自分ではいかんともしがたいレベルで研究の機会を失ってしまったわけですから。国際協定を結んだときの約束なのかもしれませんが、もう少しマイルドな決着の付け方はできなかったのでしょうか。

    ALMAもそうですし、今後の大規模天文台は一国では規模が大きすぎるので国際協力での運用が基本になっていくでしょうが、各国の事情と国際協力関係の両方を並び立たせる力が必要になってくるわけですね。

    イギリス国内でのジェミニ天文台の観測成果の広報がどれくらいなされていたのかわかりませんが、天文学業界とサイエンスコミュニケーション業界にとって、あるいは天文業界内のサイエンスコミュニケーションに対する考え方においても、大きなインパクトを与えることになりそうです。もちろん、日本においても。

    投稿者 平松正顕 : 21:58 | hiramatsu log | コメント (1) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

    2008年1月26日

    ゲームと科学普及

    BBCCNETで記事になっていますが、NASAが人材募集と教育のためにオンラインゲームを活用することにしたそうです。Spirit/Opportunityといった火星探査や「かぐや」の後を追う Lunar Reconnaissance Orbiter月ミッションを体験することができるのでしょうか。おもしろそうです。僕もそういうゲームがあったらやってみたいと思いますし、需要はいっぱいあるでしょうね。国立天文台やJAXAもやればいいのに、と思いましたが、国立天文台には既にMitakaという超強力なソフトウェアがあるのでした。派生版Mitaka Plusの開発には天プラも少しだけ協力しています。Mitaka Plusは Mac でも動くので、Mac使いの方はぜひお試しあれ。

    天プラでも宇宙打あすとろかるたなどのゲームを開発してきましたが、「遊びながら科学に親しむ」という狙いはNASAのオンラインゲーム進出と同じですね。最近人生ゲームをカスタマイズできる「私の人生ゲーム」というのがあるらしいですが、もう少し自由にカスタマイズできるようになったら前々から思っていた、天文学者について親しみを持ってもらえるような「天文学者人生ゲーム」が作れるんじゃないかなぁ、と思います。『観測しようと思ったら曇る』とか『海外の同業者に出し抜かれる』(どちらも僕が体験した実話)とかいうコマが入ってるはずなので楽しいかどうかはわかりませんが・・・。

    宇宙をテーマにしたゲームといえば、メガスターの大平さんが監修してPSPソフトになったホームスター ポータブルがありますね。持ち出せるプラネタリウムということで実際星を見るときにも使えると思うのですが、残念ながらまだ実物にお目にかかっていません。そもそもゲーム自体あんまりやらないので当然といえば当然なんですが。今後の展開を考えるためにも少しは世の流行に乗ったほうがいいのかな!?

    投稿者 平松正顕 : 19:13 | hiramatsu log | コメント (4) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

    2008年1月20日

    天文学会100周年

    2008年は日本天文学会設立100周年に当たります。朝日新聞にも記事が出ていますが、この100周年を記念して3月に記念切手が発売されるそうです。日本郵便の案内のページによると、太陽系の惑星、銀河、小惑星、火星、そして小惑星探査機「はやぶさ」、X線観測衛星「すざく」、国立天文台のすばる望遠鏡と野辺山45m電波望遠鏡が並んでいます。過去にもいくつか天文学を題材にした記念切手は出ていたようですが、今回のはこれまでに比べて枚数も多いですし、とても魅力的です。「冥王星が入ってない」と未だに新聞には書かれてますが、いっそのことセドナやエリスと一緒に(ついでにケレスも)描いてしまえば、広がりゆく太陽系が読み取れて面白かったのに、とは思います。

    天文学会は『天文月報』という月刊誌を出しているのですが、多くの過去の記事がpdfで読めるようになっています。100年前の記事も読めるのですが、当時の天文学の様子を垣間見ることができて面白いです。1908年5月号では、『太陽からアンドロメダ"大星雲"までの距離が19光年と測定された』という記事があったりします。現在ではその距離は約230万光年と求められているので、100年前の天文学者が思い描いていた宇宙は現在わかっている姿とはまったく違いますね。もっとも、その当時はアンドロメダ"星雲"のような星の集まりが私たちの銀河系の中にあるのか外にあるのかもわかっていなかったわけです。アンドロメダ銀河までの距離が比較的正しく測られたのは、1924年エドウィン・ハッブルの手によってでした。というあたりはJSTの天文学の歴史をどうぞ。

    天文月報第1号(1908年4月号)には『発刊の辞』として当時の会長、寺尾壽氏の文章があります。ちょっと引用すると

    天文学に対して世間に二つの誤解あり、第一天文学はただ徒に高尚にして実用に遠しということ、第二天文学は徹頭徹尾煩雑なる数字の結合にして,素人には到底その門牆をだに窺い得られぬ者ということなり
    (中略)
    実用という辞は、世人と共に我々の物質的要求を満足せしむる者という意味に用いたり、然るに人類は物質のみにて満足する者にあらず、吾人の口や腹が飯や菜を要求するが如く、吾人の精神もまた何物かを要求す、此精神の要求こそ最も高尚なる者にして、「人の以て禽獣に異る所」の主なる点なれ、しかして吾人目を挙げれば直に天を見るが故に、天は人類全体の精神的要求の共同目的物なり、假令天文学をして所謂実用と何等の関係をなからしむるも、なおかつ吾人の研究を値すというべきなり。(後略)

    100年で大きく発展した天文学ですが、当時も天文学は実用的でないという批判があったのでしょうか。これは今も変わりませんね。そして「明日の物質的豊かさ」という以外の指標での豊かさを求めているのである、という天文学者側の意見も同じ。こういう批判がなくなる時代は永遠に来ないだろうと思いますし、なくならない方がむしろ健全な世の中かもしれません。だからこそ天文の人間はこれからも天文学の魅力を発信し続けなければいけないのだろうと改めて感じさせてくれた、100年前の文章でした。

    投稿者 平松正顕 : 20:04 | hiramatsu log | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

    2008年1月12日

    天プラ2007-2008

    ちょっと遅くなりましたが、2005年2006年と同じように2007年の天プラの活動を振り返ってみます。

    1月1-3日 徳島県立あすたむらんど子ども科学館にて、あすとろかるたを用いたカルタ大会開催。
    1月26日  三鷹第四小学校にて観望会開催。
    1月30日  東京ウォーカー2007年第3号に、三鷹にゆかりのあるグッズとしてATPが紹介される
    2月24日  ユートリヤ・スターガーデンにて、天文講演会
    3月13-18日  三鷹駅前にて1週間連続サイエンスカフェ SpaceMitaka 開店。
    3月14日  TBSラジオでATPが取り上げられる。
    3月14-18日  SpaceMitaka にて、みたか宇宙塾第II期開講。
    3月17-31日  読み聞かせ小屋製作に協力した 『どうして? 神沢利子展』 開催。
    3月26日  文部科学省にて、一家に1枚宇宙図完成について記者発表
    3月28日  日本天文学会春季年会にて、地域協力活動について発表。
    3月30日  第1回楽しむ科学コンクールにて優秀賞受賞
    4月16-22日  科学技術週間日本橋イベントの来場者に、文部科学省があすとろかるたを配布。
    4月18/21日  日本橋三井タワーにて開催された科学技術週間サイエンスカフェに協力
    6月9日  高井戸第二小学校にて観望会開催。
    6月24日  2007年度のアストロクラブ@三鷹第四小 活動スタート。
    7月7日  六本木SuperDeluxeにて、天プラも協力する『サイエンスクラブ』開催
    7月14日  三鷹第二小学校にて天文教室を開催
    7月15日  グローバル・ハンズオン・ユニバース(GHOU)世界大会2007にて、天プラの活動について発表。また参加者にはATPをお土産として配布。
    8月5日  さいたま市宇宙劇場にて、親子星空教室を開催。
    8月5日  第21回天文教育研究会にて天プラの活動について発表
    8月28日  宇宙図を特集した『ニュートン別冊 完全図解 時間と空間を軸にえがいた 新 宇宙図』出版。
    10月27日  国立天文台三鷹地区特別公開にて、LSS扇子を試験販売。
    11月28日  杉の樹カレッジでの異世代交流講座に協力
    12月18日  杉並区立済美小学校で開催された観望会に協力
    12月18日  NTTグループの情報誌365゜に、三鷹第四小学校でのアストロクラブの活動が掲載される。

    こんなところかな。いやぁ頑張りました。僕が関与してないものもいくつかあって、抜け落ちているものもいくつかあると思います。天プラとして大きかったのは、1週間連続サイエンスカフェ SpaceMitaka と、宇宙図の発表でしょうか。昨年後半からは天プラの主要メンバーが多忙を極めていたのであまり活動ができませんでした。4月以降の活動については、主要メンバーの一部の活動拠点が移動する可能性があって、まだどうなるかよくわかりませんが、それぞれの場でやりやすい形で、天プラの活動を続けていくことになると思います。今年もどうぞ宜しく。

    投稿者 平松正顕 : 23:46 | hiramatsu log | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

    2008年1月7日

    宇宙望遠鏡という名前

    日の丸宇宙望遠鏡、12年にも 大学連合打ち上げ目指す』という記事がasahi.comに載っていました。惑星観測のための小型宇宙望遠鏡ということで、記事中には具体的なプロジェクトの名前が書かれていないのですが、TOPSのことでしょうね。口径は20cmと30cm、ハッブル宇宙望遠鏡の2.4mより一桁小さいですが、惑星専用ということで、汎用望遠鏡であるハッブルにはできない長時間モニタリング観測などで威力を発揮してくれるのでしょう。

    記事中、『宇宙望遠鏡としては、米航空宇宙局(NASA)が90年に打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡(口径2.4メートル)が、遠方の天体の観測などで大きな成果を上げている。』との記述があります。それはもちろんそうなのですが、日本が打ち上げているすざくあかりひのでなどについては言及されていません。この衛星たちもそれぞれエックス線宇宙望遠鏡、赤外線宇宙望遠鏡、太陽観測専用宇宙望遠鏡といっていいと思うのですが、ISASのサイトでは『**天文衛星』という名前がつけられています。そのためでしょうか、記事のタイトルだけ読むと、日本製の宇宙望遠鏡は今度のやつが初めて、といった雰囲気が感じられます。一般には可視光で(太陽以外の)天体を観測する望遠鏡しか宇宙望遠鏡とは認められにくい、というわけでもないでしょうから、そういうときこそ戦略的に『宇宙望遠鏡』と名前をつけてアピールする、というのも大切な気がします。

    投稿者 平松正顕 : 23:17 | 報道にコメント | コメント (0) | トラックバック (0) | このエントリーを含むはてなブックマーク

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