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2009年4月14日

11年半ぶりの再会×2

1997年の夏、僕はつくばの高エネルギー加速器研究機構(KEK)にいました。日本国際教育協会(現:日本学生支援機構)主催の高校生向けの「インターナショナル・サイエンス・スクール(ISS97)」に参加するためです。インターナショナルの名の通り、日本から11名、環太平洋地域11カ国から11名の計22名が9日間にわたってKEKに滞在し、高エネルギー物理についての講義と実習が行われました。並行して生物学のプログラムも同じ規模で、こちらは東大で行われていました。当時のウェブページは既になくなってしまっていますが、1994年に行われた第1回ISSについての文章がありました。97年のときとは講義の構成がかなり違っていますが、ご参考まで。

高校当時所属していた物理部の顧問の先生が「ヒラマツ、世界に羽ばたいてみないか」と冗談交じりに教えて下さったこの企画。確かKEKとスーパーカミオカンデで計画されていたニュートリノ振動実験K2Kについての英作文を提出し、参加できることになりました。期末試験直前に届いた教科書はもちろん英語、当時はまだ高校で電磁気を習う前だったので、前述の先生とマンツーマンで教科書を読みながら加速器の原理を予習したりしていました。

実家の岡山から初めて東京まで出て、参加者たちと合流してつくばのKEKへ。本物の研究者による講義(しかも英語)、海外から来た高校生との交流、最先端の研究設備、何もかも初めてでした。講義は、素粒子の世界、加速器の原理、計算機の原理、シミュレーションの紹介など盛りだくさん。班ごとに分かれての実習では、スーパーコンピュータで円周率を計算したり、ガイガーカウンターを作ったり。僕も初めて触るFortranでスパコンに計算させた覚えがあります。夕食の後にはみんなでカードゲームをしたり、体育館でバレーだかバドミントンだかをやったり、花火をしたり、もちろん一緒に次の日の予習をしたり、いろんな事をやりました。英語が未熟な僕たち日本人参加者に、英語ネイティブな高校生が身振り手振りを交えて単語の意味を教えてくれてたのを覚えています。

ISS97の参加者とはその後も少しは連絡を取り合っていたのですが、そのうちの一人とは大学の天文サークルで思わぬ再会。それ以外の人とは残念ながら疎遠になってしまいました。

そんな17歳の夏(!)から11年後、台湾に移った僕のもとに別の参加者T氏からメールが届きました。なんと、僕がいる清華大学の隣の国立交通大学にポスドクで赴任すると。なんという偶然。というわけで11年ぶりの再会を果たし、先日の台北での天文年イベントにも一緒に参加しました。

そして数日前、大学の物理館のエレベーターに貼ってある物性物理のコロキウムの案内に、見覚えのある名前を見つけました。ISS97にアメリカから参加していたノアでした。なんという偶然!そして今日、となりの大学から来たT氏と一緒にコロキウムが終わったノアに話しかけてみました。

"Do you remember us?" と質問した我々に、「Oh! オヒサシブリデスネ〜」と日本語で返してくれたノア。驚いていましたが、すぐに思い出してくれました。僕は天文学、T氏はひも理論、ノアは物性物理。大きなくくりでは「物理」ですが、それぞれ違う分野でポスドクをやっていて、その3人が最初に会ったKEKとはあんまり関係のない所で再会。T氏は「必然だよ〜」と言っていましたが、世界は実は狭いのでしょうか。

このISS、予算の都合?で僕たちが参加した数年後になくなってしまったのが残念です。今では国立天文台の君が天文学者になる4日間や東大の銀河学校などいろんな高校生向け実習がありますが、97年当時はまだあまりなかったように思います。歴代のISSに参加したみんながどうなっているのか、一度同窓会のようなものを開いてみたいなぁ、と思わせてくれた今回の印象的な再会×2でした。

投稿者 平松正顕 : 23:56 | 研究生活@台湾

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コメント

感動的な再会ですね。
参加者のレベルが高いのはさすがですね。
今はサイエンスキャンプというのが定期的に開かれています。もっと国際的な集まりがあってもいいですよね。

投稿者 なゆた : 2009年4月15日 11:52

なゆたさん、こんにちは。
感動的な再会でした。最近はGoogleのおかげで、研究業界などに残っていればなかなか良い確率で探り当てることができます。
同世代の外国人と接したのはこれが初めてだったと思うのですが、とても良い経験でした。このころの僕はまだ将来海外に出るなんて思ってなかったと思いますが、今こうして海外にいて、そこで出会いがあるというのも、面白いものです。

投稿者 平松正顕 : 2009年4月17日 21:19

今日は〜^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。

投稿者 グッチ ボストンバッグ : 2012年11月10日 09:16

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