2005年12月21日

NTT Communication EXPO

昨日今日と、東京国際フォーラムで開催されている NTT Communication EXPO に参加してきました。お手伝いですけど。チリへの通信回線などで天文台と協力関係にあるネットワーク部門(すみません、正式な部署知りません)のブースで、チリ大学の45cm反射望遠鏡を会場からリモート操作して写真を撮る、というデモを行いました。(会期は明日22日までですので、参加されたい方はどうぞ。私はもう明日は行きませんが。)

この望遠鏡は日本のODAでチリに寄贈されたものだそうで、普段は大学生の実習や一般観望会などに使われているそうです。今回はこの望遠鏡で、火星、土星、オリオン大星雲、タランチュラ星雲、球状星団 47 Tuc などを撮影しました。このうち後ろ二つは南半球からしか観測できない天体ですから、日本の昼の時間にこういう天体が撮影できるのはネットワークと南半球望遠鏡のおかげ、というわけです。写真入りの記事がITmediaに出ています。一番下です。写っているのはM42、オリオン大星雲です。赤く着色していますが、実際はモノクロ画像です。

今回のエキスポはNTT20周年記念だそうで、かなり気合が入っているように見えます。(いくらかかってるんだろう。) 多くはこの手の新技術に興味のあるサラリーマンだと思うのですが、時折制服姿の高校生や親に連れられた子どもの姿も見かけました。これを見に来る方たちはどんな方たちなのか良くわかっていないのですが、ともかく普段天文台に来る方とは少し違う層であろうということで、「こんなところで天文普及@有楽町」をやってきたわけであります。もちろん、NTTの回線の良さも解説したわけですが。

お話したことはたいして込み入った話でもなく、天体の基本情報(何座の方向でどのくらいの距離)とか、その天体の性質(「若い星によって光っている散光星雲」、「100万個の星が集まった球状星団」)などです。さらには、恒星の誕生の仕組みや恒星内の元素合成と人体内の元素を繋げる話も少ししました。こんなところでそんな話が聞けるとは思ってもいなかったであろう来場者のみなさん、近くのブース担当のイベント会社の皆さん、たまたまブースの担当になったコンパニオンの皆さんの頭に、すこしでもこんな天文学の話が残っていればと思います。

余談ですがコンパニオンのお一人は日本科学未来館での海部宣男国立天文台長×谷川俊太郎の対談を聞いたそうで、そこで海部台長が紹介してくださったATP (Astronomical Toilet Paper) もご存知でした。すばらしいことです。コンパニオンの皆さんは我々がする解説をとてもよく吸収してくださって、すぐにお客さんに同様の解説をしてくれていました。もちろんそれが仕事なんでしょうけど驚いてしまいました。プロ魂、ですね。様々な展示会場を渡り歩いてその都度解説をしていらっしゃるそうなので今回の解説がどれだけ記憶に残るのかわかりませんが、「なんかチリの望遠鏡で星が生まれるところの写真を撮ったぞ」くらいの認識が残っているといいな、と思います。

投稿者 平松正顕 : 23:14 | hiramatsu log

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.tenpla.net/cgi/hlog/tt-cgi/tt_tb.cgi/44

コメント

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ