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2006年12月28日

宇宙で見る目

人工衛星ネタがいくつかあるので、まとめてご紹介。

地球が見える -アタカマ高地の電波天文台群
JAXAが今年1月に打ち上げた陸域観測衛星「だいち」が撮影した、チリ・アタカマ高地の写真が公開されています。タイトルにもあるとおり、標高5000mくらいあるこの地方の乾燥した気候が天文観測にとても適しているということで、すばる望遠鏡他があるハワイ・マウナケアの次の観測天文学の"聖地"になりつつあります。右の自己紹介写真のうしろに写っている大きなパラボラアンテナ = ASTE望遠鏡も、ここにあります。JAXAのページの図4に上空からの写真があります。あらためて衛星写真を見ると、よくこんなところまで行ったもんだという気がしてきます。観測適地を世界中探し回ってこの地を見つけた、日本の天文学者に敬意を表したいと思います。

図5には、カリフォルニア工科大学の観測施設CBIと、もうひとつ建物が建っています。JAXAのページではヨーロッパの電波望遠鏡(=我々の最大のライバル)APEXと説明がありますが、APEXはもうちょっとチャナントール山の麓の近くにあったような気がします。僕が現地に行ったのは約1年半くらい前ですが、こんなところにこんな建物はなかったような・・・。となると、最近姿を現したらしいALMAの山頂施設AOSでしょうか。今度行く機会があったら確かめてみたいものです。

きく8号、アンテナ展開成功
おなじくJAXAが今年12月18日に打ち上げた技術試験衛星「きく8号」のアンテナ展開のニュース。2枚合わせてテニスコート2面分の巨大なアンテナだそうです。地上の携帯端末などとの通信の試験のための衛星なので、この衛星が天文観測するわけではないのですが、でも天文観測にとっても意味のある衛星です。それはもちろん、巨大なアンテナです。衛星を上下ひっくり返してアンテナを宇宙に向ければ、宇宙電波天文衛星の完成です。きく8号は実際にはそんなことしないですが、1997年に打ち上げられて活躍した電波天文衛星「はるか」の後継機、ASTRO-G計画が進行中です。大きなアンテナはそのままもっていくには大きすぎてロケットに入りきらないので小さくたたんで宇宙で開くわけですが、このASTRO-Gも「きく8号」と同様に10mくらいのアンテナを広げて電波望遠鏡にします。打ち上げは2011年予定とのことですが、また新たな宇宙が開けることでしょう。

太陽系外惑星探査機COROT(コロー)打ち上げ
こちらは今朝バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた衛星です。現代天文学の一大トピックスである太陽系外惑星の探査を本格的に行う衛星で、これまでの地上からの観測では見つけられなかった、地球のような小さな惑星の発見を目指しているとのことです。読売の記事タイトルは「人間住める惑星探せ!」となってますが、これだと将来の移住を前提にしているように読めてしまいますね。現実的にはそんなこと目指していないので、ちょっと誇大表現でしょうか。とはいえ、地球のような惑星が宇宙にどれくらいあるのか、というのはずっと昔から天文学者を含めたたくさんの人が疑問に思っていたことなので、答えが導き出されると人間の宇宙観が大きく変わってしまうかもしれませんね。楽しみです。

投稿者 平松正顕 : 23:43 | 報道にコメント

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