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2005年10月20日

画像から学ぶ 〜科学コミュニケーション論@東大物理

昨日は、本郷で 21世紀COE特別講義 科学コミュニケーション論 (pdf資料) を受けてきました。この講義は理学系研究科物理学専攻が開講しているもので、研究者になる人に向けて『受講者が今後出会う様々なコミュニケーションの場で有用となる知識と心構えを伝えること』が目標の講義だそうです。元NHKの高柳雄一さんと出版の世界にいらっしゃった木幡赳士さんが講師となり、各回のテーマにあわせたゲスト講師を迎えて講義が行われます。

昨日は『画像から学ぶ』ということで、早稲田大学教授の坂井滋和氏がゲスト講師でした。この方は日本におけるCGの先駆者で、高柳さんがプロデューサーだった NHKスペシャル 『銀河宇宙オデッセイ』や『生命40億年はるかな旅』で CG を担当された方です。(ちなみに高柳さんは私の高校の先輩でもあります。)講義では坂井さんのこれまでの仕事を振り返りながら、テレビに使われる科学CGがどのようにして作られるのか、というお話が紹介されました。、正確さと見栄えのバランスに苦慮すること、などが非常によくわかる講義でした。

印象に残ったことはいくつもありますが、ひとつは『ゼロから作り上げるには自分の頭の中にその世界が描けないといけない』ということで、科学者へのしっかりした取材とフィードバックが必要であることです。CGを使うからにはその対象は実際には見ることができないものであって、それを構築するには試行錯誤も含めた科学者との緊密な関係が必要、というわけです。その面では、文章で伝える時よりもごまかしが利かない世界なのかもしれません。

もうひとつは高柳さんの言葉です。高柳さんはテレビ番組の編集=切り捨てる仕事に長く関わってこられたことから、ゼロから構築するというよりある『場面』を切り取ることに慣れているとのこと。それゆえに、『自分が作ったものが切り落とされるのではないかという危惧』をいつも持ち、『切り捨てられないコミュニケーションの手法』を常に心がけていらっしゃるとのことでした。曰く、「大学構内に貼ってあるポスターは文字ばかり。反面教師がそこらじゅうに散らばっている。」うーん、確かに。

天文学のように日常生活で差し迫って必要になることが少ないような分野 -基礎科学全般といってもいいかもしれませんが- は、ともすれば切り捨てられがちかもしれません。そういう情報を如何にうまく伝え、普段天文学に興味のない人にアピールするか。天プラの天文トイレットペーパーや宇宙打、あるいは私も参加するゲリラ観望会は、切り捨てられない活動のよい例となれると思います。

切り捨てられる物を作っても仕方ないですが、切り捨てられないことばかり気にして伝えたいことが伝わらないのもまた問題です。やはり重要なのはターゲットを明確にすることでしょう。プラネの番組にしてもサイエンスカフェにしても、それはどの層をターゲットにしているのか、何を伝えたいのか、をしっかりと確認する必要があります。昨日の講義はこのことを再確認させてくれる、実りのある授業でした。

投稿者 平松正顕 : 22:14 | 科学コミュニケーション

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コメント

今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

投稿者 グッチ バッグ 赤 : 2012年11月10日 07:13

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