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2007年7月8日

カンヌ国際広告祭

たっぷりの観測データと色々な経験と時差ぼけを手土産に、5週間のチリ滞在から帰ってきました。チリ滞在中に嬉しいニュースを耳にしたので、ちょっと遅くなりましたがここでご紹介。

国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトのウェブコンテンツのひとつ、"4D2U Navigator英語版"が、2007年カンヌ国際広告祭でCyber Lions部門銅賞を受賞したそうです。おめでとうございます!

何はともあれこのコンテンツを一度見てみるのが一番です。まずは日本語版から。Flashと簡単なマウスでのナビゲーションで、気持ちよく宇宙の中を飛び回れます。スタート地点が東京都三鷹市の国立天文台の敷地内の4D2Uプロジェクトプレハブの机の上のコンピュータのディスプレイという遊び心も素敵です。画面下の+−ボタンで自由にズームイン・アウトし、"STILL"から好きな場所のよりリアルなシミュレーション画像を楽しむこともできます。今回銅賞を受賞した英語版のほうは、これらに加えて太陽系惑星のデータが表示されたりして、さらに楽しめます。日本語版もこれから英語版と同等の機能を持つようにアップデートされるそうなので、楽しみです。


サイバーライオンの受賞者一覧のpdf
を見ると、コカコーラ、NIKE、フォルクスワーゲンといった世界的企業に混じって"NATIONAL ASTRONOMICAL OBSERVATORY OF JAPAN (国立天文台)"がこれでもかというくらいに異彩を放っています。

天プラや僕自身はこの4D2Uナビゲータには全然関わっていないのですが、これを製作したデザイナーの小阪淳さんは、僕たちもお手伝いした一家に1枚宇宙図2007』の製作をされた方でもあります。宇宙図製作のときから小阪さんのパワーとコダワリには一同圧倒されまくりだったわけですが、改めて『世界の小阪さん』の凄さに脱帽です。

広告業界に詳しくないので「なんか凄い賞らしい」くらいしかわからない僕ですが、世界に名だたるクライアント企業と巨大広告代理店がしのぎを削る中で、国立の基礎科学研究機関+デザイナーのチームが小阪さん自身『広告とは言い切れない』と仰っていたこのコンテンツで賞を勝ち取ることができたことが何よりも目新しく、今後この方向の科学コンテンツの可能性を示しているのではないかと思います。もちろん4D2Uチームと小阪さんという強力なタッグの力があってこそですが、科学的な正確さを担保しつつ、『見せる/魅せる』モノをつくることが十分に可能なわけです。同じく4D2Uプロジェクトの成果物である宇宙シミュレータ"Mitaka"にしても、宇宙図にしても、まずはビジュアルで見る人をしっかりと引きつけておいて、それからその奥にある科学的真実に興味を移してもらう、という共通の方向性があると思います。生活に役立つとかお金になるとかだけではなくて、「カッコいい科学」という見せ方の方向性も、もっともっと追求されてもいいと思わせてくれる、今回の嬉しいニュースでした。

投稿者 平松正顕 : 19:16 | hiramatsu log

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