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2008年3月18日

ALMA、さらに前へ

昨年7月と8にも取り上げたとおり、南米チリで次世代巨大電波天文台ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波望遠鏡)の建設が進んでいます。日本と台湾、ヨーロッパ、北米とチリの国際共同プロジェクトです。

ヨーロッパのALMAウェブサイトによれば、現在チリに設置された望遠鏡は7台。最終的には80台ほどのパラボラアンテナがひとつの望遠鏡として働くことになっているので、現在1割ほどが現地にあると言うことになります。この7台の内訳は、日本が4台、アメリカが3台です。日本のALMAウェブページアメリカのページにきれいな写真があります。今はまだ山麓部分にあるアンテナ組み立て場所に立っていますが、各種試験を終えた後に最終設置地点である標高5000mの山の上に運ばれます。

ヨーロッパ陣営が作った、アンテナを運ぶ台車も今年2月に現地に着いたそうです。上記アメリカのページに写真がありますが、砂漠の間をぬうように巨大な台車が運ばれていったようです。この砂漠地帯、僕がチリに行ったときも通る場所です。崖が見えている周辺は、サンペドロ・デ・アタカマという村に入る前の月の谷と呼ばれるあたりでしょう。この台車については、ヨーロッパ陣営がビデオリリースをしています。

ALMAではこの台車を使ってパラボラアンテナの位置をいろいろと動かし、観測対象によってカメラのズームレンズのように広角/望遠を選んで観測ができるわけです。僕がALMAの建設地に初めて行ったのは2003年で、そのときにはホントにまだ何にも現地にはなかったわけですが、5年たって次第に形ができてきました。

そして今日、日本が製造したALMAのアンテナに、日本が担当した受信機を搭載して、米欧アジア共同のALMAのアンテナとして初めてチリで天体からの電波を受信し画像を得た、というニュースリリースが出ました。一般に、望遠鏡が初めて天体からの光(電磁波)を受けることをファーストライトと呼びます。本格的に望遠鏡として使うにはまだまだこれから数多くの調整をしなくてはいけませんし、特にALMAの場合、たくさんのパラボラアンテナが受信した電波をコンピュータで処理して、ひとつの電波望遠鏡として機能させる必要があるので、さらにステップが必要です。それでも、一歩一歩着実に完成に向かっている中でとても重要なひとつの到達点です。完成は2012年、楽しみですね。

投稿者 平松正顕 : 03:00 | hiramatsu log

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